2006 Fiscal Year Annual Research Report
JNK結合分子による細胞接着斑と運動極性形成制御機構の解析
Project/Area Number |
18590287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 助教授 (40322119)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 細胞運動 / 情報伝達 / 浸潤 / MT1-MMP / MAPK / JNK / インテグリン |
Research Abstract |
細胞外マトリックスによる細胞刺激は、MAPK(ERKやJNK)、PI-3K/Akt、Rhoファミリーを活性化することで細部運動・浸潤を誘導する。インテグリン/FAK/p130Cas/Crk/DOCK1l80/Rac経路を介してJNKを活性化する。この活性化反応は細胞接着斑において行われることが知られているが、詳細な機構については不明な点が多い。そこでMT1-MMPによる細胞外マトリックス分解が細胞接着斑の代謝回転、インテグリンを介した情報伝達に及ぼす影響を調べた。 MT1-MMPを発現していない細胞にMT1-MMPを発現させると、ファイブロネクチン上での細胞運動の亢進とともに、ファイブロネクチンの分解と細胞接着斑の代謝回転を誘導した。MT1-MMPを高発現しているHT1080細胞のファイブロネクチン上での細胞運動は、MMP阻害剤BB94により抑制さ、ファイブロネクチン分解の減少、細胞接着斑の過形成と運動極性の喪失が認めちれた。一方MT1-MMPの過剰発現はブァイブロネクチン分解、細胞運動と細胞接着斑の代謝回転の亢進を誘導し、優性阻害体の発現でその抑制が認められた。HT1080細胞のBB94処理は、ファイブロネクチンへの接着により誘導されるERK活性化を抑制する一方で、FAKの自己リン酸化(チロシン397番)を亢進していた。以上の結果からMT1-MMPによるファイブロネクチン分解は、細胞接着により誘導されるERK活性化、FAKの自己リン酸化を調節することにより細胞接着斑、細胞運動を制御していることが示唆された。また、細胞接着斑に局在するMT1-MMPの優性阻害体を作製し、この阻害体発現がインテグリンーFAKを介したシグナル伝達を抑制すること、腫瘍細胞浸潤を顕著に抑制することを既に明らかにしている。現在はMAPKに対する影響を検討中である。 JNK結合分子は細胞接着斑におけるJNKの局在と活性化部位を誘導することで細胞運動時の極性形成・維持を制御していると予想される。本研究によりMT1-MMPによる細胞外マトリックスの分解・再編は細胞接着斑の代謝回転を促進することにより、インテグリンーFAK情報伝達経路を制御し、細胞極性形成・維持に密接に関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)