2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製に伴うリピートインスタビリティーが発癌と神経疾患に与える影響
Project/Area Number |
18590290
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 元 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80236017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 徹 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90402560)
村手 隆 名古屋大学, 医学部, 教授 (30239537)
|
Keywords | ゲノムインスタビリティー / DNA複製 / HNPCC / 神経変性疾患 / repeat instability |
Research Abstract |
本来染色体DNA配列は安定に存在しているが、この病態においてはゲノム中の繰り返し配列長が増減したり、極端に増幅したりする。一例である遺伝性非ポリポーシス性大腸がん患者においてはミスマッチ修復機構が先天的に欠損しており、加齢とともにゲノム中にDNA複製エラーが蓄積し発癌に至る。一方神経変性疾患のひとつである脊髄小脳失調症(10型)では5塩基からなる繰り返し配列がそれぞれ数十"数千コピーにまで過伸長することが報告されている(repeat expansion)。本研究においてはこれらrepeat expans ion の発生メカニズムをDNA複製の観点から実験的に明らかにしていくことを目的とした。 酵母細胞株の樹立とrepeat instability測定系の確立 DNAポリメラーゼα変異体をゲノム中に有するpollL868F株は細胞株を基盤に以下の二つの実験を行った。まず、Dr. Tom Petesよりrepeat instabilityを測定するためのレポーターブラスミドの供与を受け我々の系に導入したが、genotypeの違いのためか、安定に保持されなかった。一方この細胞株をもとに、チェックポイント遺伝子DUN1、DNA修復に関わる。ビキチン経路遺伝子PCNA、RED18等に変異を導入したところ、これら二つの遺伝子がmononucleotide repeat expansionに関わっているとの結果を得た。現在この経路に焦点を絞ってメカニズムを解明中である。 哺乳動物細胞株の樹立とrepeat instability測定系の確立 ヒトミスマッチ修復遺伝子欠根株に脊髄小脳失調症(10型)に見られる5塩基繰り返し配列を挿入したstable clone株を確立し、継代を行いrepeat instabilityの測定を試みたところ、一定の頻度でrepeat instabilityを検出することに成功した。
|