2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス蛋白質による肝細胞の蛋白質チロシンリン酸化反応への影響
Project/Area Number |
18590293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
定 清直 福井大学, 医学部, 教授 (10273765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 博 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40116249)
長野 基子 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90304089)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 蛋白質チロシンリン酸化反応 / チロシンキナーゼ / ウイルス-宿主間相互作用 / シグナル伝達 / Syk |
Research Abstract |
本研究はC型肝炎ウイルス(HCV)蛋白質による肝細胞の蛋白質チロシンリン酸化反応、特に非受容体型チロシンキナーゼSykと細胞機能への影響について解析するものである。 平成18年度は以下のような成果を得た。まず、HCV蛋白質のなかで非構造(non-structural : NS)蛋白質のNS5AのみがSykに会合することを、個々のHCV蛋白質の発現実験に加えて、全てのHCV蛋白質を同時に発現する全長HCVレプリコンを用いた実験によって証明し、両者の会合の分子メカニズムを明らかにした。またSykの肝細胞内標的分子としてボスホリパーゼC-γ(PLC-γ)を同定し、HCV蛋白質NS5AがSykに会合してPLC-γのチロシンリン酸化を減弱させることを見いだした。転写因子AP-1の上流にあるJNKの活性には影響が見られなかった。これらの実験結果をまとめて、現在投稿中である。並行して、HCV蛋白質による病原性発現機構の解析や、新規SSPE株の同定、ウイルス関連ユビキチンリガーゼの解析等を行い、その研究成果を発表した。 その他、HCV蛋白質による肝組織の非受容体型チロシンキナーゼへの影響の網羅的な解析を試みたが、有意義な結果は得られていない。肝組織におけるNS5AとSykとの細胞内共存部位については、現在脂質ラフトに着目して解析を進めている。HCV蛋白質により脂質ラフトへ集積する分子のプロテオミクスの手法による同定と機能解析は、次年度の課題としたい。また、HCVの感染・複製に対するSykの作用については、HCVの感染系を用いて現在解析中である。 なお、本年度途中の平成18年10月に研究代表者の定が神戸大学大学院医学系研究科より福井大学医学部へ教授として転任した。以降、新しい教室の立ち上げを行っているため、実験の遂行はやや遅れている。次年度は新しい研究室にて更なる発展を目指したい。
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Research Products
(6 results)