2007 Fiscal Year Annual Research Report
感染による動脈硬化の進展とその制御に関する病態生化学的・免疫学的解析
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18590296
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 栄次 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20181688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 惠二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00002262)
綾田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00379835)
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Keywords | H. pylori / 動脈硬化 / 免疫応答 / 動脈硬化好発モデルマウス |
Research Abstract |
昨年度の本研究で、動脈硬化好発モデル(Apoe^<+/->、Ldlr^<+/->)、マウスにHelicobacter pylori(H.pylori)を経口感染させるとH.pylori由来の熱ショックタンパク質(Hp-HSP60)に特異的なTh1応答が誘導され動脈硬化が惹起されること、および、Hp-HSP60免疫により、この細胞性免疫関与の動脈硬化の誘導が抑制されることが判明した。今年度は、まず、Hp-HSP60免疫により惹起される液性免疫(Hp-HSP60免疫により誘導される抗体)が動脈硬化をどの様に抑制するのか、その機序についてin vitro transendothelial migration assayを試行した。その結果、in vitroでHp-HSP60により感作したH.pylori感染マウスの(脾臓細胞由来)T細胞の血管内皮透過性をIgG、IgM抗Hp-HSP60抗体は阻害した。この様に、Hp-HSP60免疫により誘導されるIgG、IgM抗Hp-HSP60抗体が血管内皮細胞に発現した内在性(この実験系の場合マウス由来の)HSP60に結合することで、ナイーブなT細胞の内在性HSP60による再活性化と血管内皮透過性を阻害することが示された。このことは、感染が惹起する動脈硬化をワクチン療法で予防・治療できる可能性を示唆している。ヒトの末梢T細胞を用いる同様の検討も行った。ヒト試験のための倫理委員会の承認を受け臨床試験の体制を構築し、また、抗Hp-HSP60抗体価と冠動脈疾患の発症との関係を見いだすと共に、Hp-HSP60に反応性のT細胞クローンを患者よりクローニングした。以上の結果は、一大社会問題である生活習慣病の原因である動脈硬化において、慢性感染がその進展に深く関与している可能性が高いことを示している。
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Research Products
(13 results)