2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
後藤 知己 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 講師 (20264286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 元誉 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 文部科研研究員 (40398243)
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Keywords | 小胞体ストレス / CHOP / IL-1β / カスパーゼ11 / 炎症 / LPS / マクロファージ / サイトカイン |
Research Abstract |
小胞体内での構造異常蛋白質蓄積により誘導される小胞体ストレス経路は、細胞に対する種々のストレスにより誘導され、細胞保護に働く。しかし、それらのストレスが過剰な場合には、アポトーシスが誘導され障害細胞全体が除かれる。この小胞体ストレス誘導性アポトーシスには、小胞体ストレス誘導性転写因子CHOPが関与する系などが知られている。これまで、小胞体ストレスと炎症・免疫系との関係については、小胞体ストレス誘導性転写因子XBP-1が、リンパ球系の分化に必須である事が、ノックアウトマウスの解析で明らかにされるなど深い関係があることが示唆されていたが、具体的な分子機構はほとんど明らかではなかった。本研究において我々は、LPSを気管内投与して作成したマウスの肺の炎症をモデルとして、小胞体ストレス、とくにCHOPと炎症病態形成との関係について解析を行なった。 CHOPノックアウトマウスでは、野生型マウスと比較して、LPS投与による肺胞レベルでの炎症像が明らかに抑制されていた。肺胞洗浄をおこなったところ、洗浄液中に回収された炎症細胞は、野生型では好中球を主体とする著しい増加を認めたが、CHOPノックアウトマウスでは、非投与群と比較して細胞の増加は軽度に留まった。さらに、肺胞洗浄液中のサイトカイン濃度を測定したところ、CHOPノックアウトマウスでは、LPS投与によるIL-1βの濃度増加が特異的に抑制されていた。IL-1βは、炎症刺激により前駆体の形で合成され、カスパーゼ1および11の働きにより、部分分解されて活性型に変換され、分泌される。解析の結果、カスパーゼ11の誘導にCHOPが必要であることが明らかとなった。IL-1βは、炎症の初期過程に働く代表的なサイトカインである。これにより、小胞体ストレス-CHOP経路がサイトカイン系を介して炎症病態を調節する系の存在が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)