2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制遺伝子TSLC1はATLではがん遺伝子として働く
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18590302
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
森下 和広 University of Miyazaki, 医学部, 教授 (80260321)
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Keywords | 成人T細胞白血病(ATL) / TSLC1 / がん |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子TSLC1は肺がんにおける癌抑制遺伝子として単離されたが成人T細胞白血病(ATL)においては殆ど全ての症例において高発現していることを同定した。そこで、この研究においてはTSLC1高発現によるATL発症機構への関連性を検討した。(1)マウスIL2依存性Tリンパ性白血病細胞CTLL-2に対してTSLC1を高発現させ、同種C57BL/6マウスに移植し経過観察した。TSLC1高発現細胞株はコントロール群移植マウスに比して約半分の生存期間となりTSLC1は腫瘍悪化因子であった。(2)免疫不全マウスNOGマウスの皮下にTSLC1高発現もしくは低発現ATL細胞株EDを移植したところ、TSLC1高発現ATLは腫瘍形成が促進されることからがん遺伝子様の働きをしていることがわかった。(3)(2)と同じ細胞群をNOGマウスへ静注したところ、TSLC1高発現ED細胞は肝臓が腫大し、その他卵巣など臓器浸潤性が増大していた。これらの結果から、TSLC1はATL細胞の臓器浸潤性を増し、さらにはがんの悪性度を増す悪化因子として働いていることがわかった。LCKプロモーターの下流にTSLC1遺伝子を挿入したtransgenic mouseを作製した。これまでに2系統約20匹を経過観察し、約1年半から2年の経過を持って約6割でCD4+CD8-TSLC1+悪性リンパ腫を発症した。発症までの経過が長いことから、TSLC1は直接がん遺伝子として働いている訳ではなく、癌発症に関わる悪化因子の一つであると考えられる。以上の結果からTSLC1はATLの悪性化に関わる重要な接着因子でありかつ表面抗原であるために治療の重要な標的分子として考えられる。
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Research Products
(3 results)