2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体ポドサイトにおける細胞極性因子aPKCλの機能解析
Project/Area Number |
18590304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
廣瀬 智威 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助手 (20381668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
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Keywords | 分子病態学 / シグナル伝達 / 疾患モデル動物 |
Research Abstract |
腎臓の濾過機能において、最も中心的な役割を果たすのが腎糸球体スリット膜構造である。スリット膜は、腎糸球体のポドサイトという上皮細胞が形成する特殊な細胞間接着装置であり、アピカル・ベーサル極性制御にも寄与している。近年スリット膜を構成する蛋白質の同定が進んでいるが、これらのスリット膜構成蛋白質の機能制御や、ポドサイトのアピカル・ベーサル極性制御については未解明の点が多い。以前の我々の研究により、ポドサイトのスリット膜の裏打ち部位には、進化的に保存された細胞極性制御蛋白質からなるPAR-aPKC複合体が局在することが明らかになっている。円柱上皮細胞においては、PAR-aPKC複合体が細胞間接着の形成やアピカル・ベーサル極性形成に必要であることが示されている。以上から、PAR-aPKC複合体はポドサイトのアピカル・ベーサル極性制御やスリット膜の形成・機能を制御し、腎臓の濾過機能において重要な役割を果たす可能性が示唆された。 この可能性を証明するため、我々はポドサイト特異的aPKCλノックアウトマウスを樹立し、その解析を行なった。血液生化学的解析・尿検査・病理学的解析の結果、ポドサイトにおけるaPKCλの欠損はスリット膜の異常による腎不全を引き起こすことが明らかになり、スリット膜の構造・機能にはaPKCλが必要であることを証明できた。同時に、ポドサイト特異的aPKCλノックアウトマウスがヒトの糸球体疾患モデルマウスとして極めて有用であることも確認した。
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