2007 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスによる原癌遺伝子活性化の定量法を新規開発し安全なベクターを開発する
Project/Area Number |
18590314
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
塙 秀樹 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (10256977)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 重症複合型先天性免疫不全症 / レトロウイルスベクター / HIV-1ベクター / 挿入変異 / 白血病 |
Research Abstract |
X連鎖重症複合型先天性免疫不全症に対する遺伝子治療が国外で行われているが、治療効果を認めるもののベクターが原癌遺伝子を活性化すること(挿入変異)による白血病を高頻度に発症している。今後、ベクターおよび治療法を改良することが重要である。本研究では細胞の遺伝子に挿入したベクターがその遺伝子をどの程度活性化させているかを包括的に測定する方法としてエキソントラップ法を開発した。オンコレトロウイルスベクター(MSCV)およびHIV1ベクターに人工エキソンを組み込み、この人口エキソン部位がどれだけ利用したエキソントラップ法を開発し、ベクターの違い(MSCV vs. HIV1)内部プロモーターの違い(レトロウイルスのLTRプロモーターvs.細胞由来EF1αプロモーター)を検討した。この方法ではLTRプロモーターを内部プロモーターとして使用した場合にはMSCVベクターは挿入部位の遺伝子を38倍活性化していたが、HIV1ベクターは1.8倍程度しか活性化していなかった。EF1αプロモーターを内部プロモーターとして使用した場合にはそれぞれ2.4倍と1.5倍と低かった。つぎに、オンコレトロウイルスベクターがHIV1ベクターよりも挿入変異により白血病を起こしやすいかどうかを検証するためにX-SCIDモデルマウスをそれぞれのベクターを用いて遺伝子治療を行い白血病の発症を観察した。オンコレトロウイルスベクターを用いて遺伝子治療した場合、15匹中5匹が治療後33週から50週の間にT細胞性白血病・リンパ腫を発症した。その一方、HIV1ベクターで治療した場合には同程度の期間経過を観察したにもかかわらず遺伝子治療を行った13匹中白血病を発症したマウスはいなかった。今後、この白血病・リンパ腫の発症機序を明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(5 results)