2006 Fiscal Year Annual Research Report
ABCトランスポーター標的ウイルスによる多剤耐性癌の制御と癌幹細胞仮説の検証
Project/Area Number |
18590315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中野 賢二 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 助教授 (00315061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 公俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (00153479)
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 教授 (30140669)
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Keywords | HSV / 抗体分子 / 標的化 / 癌治療 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は癌の治療耐性の大きな要因となる癌幹細胞を標的としたウイルス療法の開発であるが、今年度は以下の基礎研究成果を達成した。 1.細胞指向性腫瘍溶解性ヘルペスウイルス(HSV)開発 EGFRに特異的結合するアダプターを現有することから、まずEGFRに対するアダプターと変異型HSVの併用による細胞特異的HSV感染システムの開発を検討した。 一本鎖抗体分子EGFR scFvとHSVの受容体nectin 1-V domainとの融合蛋白はアダプター分子として機能し、本来感染性のないCHO-EGFR細胞へのHSV感染が可能となることを報告した[Mol Ther 2005;11:617-26]。しかし、nectin-1を発現する正常細胞への感染防止は達成できなかった。この要因としてアダプターとウイルス膜蛋白gDとの結合が不安定で細胞膜受容体のnectin-1と入れ替わってしまう可能性が挙げられる。今回、Streptavidin-coreをgDに組み込んだHSVと、ビオチン化アダプターを併用しStreptavidin-ビオチン結合による架橋による正常細胞への感染性の欠如を試みた。結果は下記の如くであり、アダプターによる感染増強は可能であるが、完全な正常細胞への感染制御は困難と考えられた。 1.ビオチン化アダプター蛋白との併用でStreptavidin-gDを含有するgD遺伝子欠損HSVはCHO-EGFR細胞に感染可能であった。 2.しかし、同アダプターの併用は一過性Streptavidin-gD含有gD遺伝子欠損HSVのCHO-nectin1細胞への感染を完全に制御できなかった。 II.標的化治療分子を発現するHSVによる特異的治療 以上の結果を踏まえて、ABCG2発現癌幹細胞に特異的に結合する治療分子を産生する腫瘍溶解性HSVの開発に研究方針を変更した。その検討に先立ち、まずEGFR scFvを融合したE coli PNP自殺遺伝子を作成し、治療法としてのコンセプトが正しいか検討した。(日本バイオセラピィ学会2006シンポジウムで発表) 1.EGFR scFv-PNP自殺遺伝子はEGFRに特異的に結合し、自殺遺伝子としての機能も維持された。 2.EGFR scFv-PNP自殺遺伝子はPNP自殺遺伝子に比較して、EGFR陽性大腸がんヌードマウス皮下腫瘍に対する抗腫瘍効果が有意に優れていた。
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Research Products
(2 results)