Research Abstract |
テトラスパニンには,細胞移動,細胞間ネットワークの形成や,細胞-基質接着制御機能があると考えられているが,ヒト腫瘍におけるテトラスパニンの役割には不明の点が多い。本研究では,皮膚癌細胞におけるCD151の,インテグリンや細胞外基質酵素MMPとのクロストークにおける動態を詳細に解析した。 免疫沈降法にてCD151がインテグリンと共沈することを確認後,CD151ノックダウン(KO)がインテグリンの細胞膜発現強度を変化させるかどうかFACSにて検討した。KO株ではα3,α6に明らかな膜発現減弱がみられた。β1,β4も減弱したが,KO株においても十分な発現度は維持された。KOによるインテグリン局在変化を細胞染色にて検討した。Control-HSC5では,α3,β1インテグリンは細胞-細胞間に,α6,β4は細胞-基質間に集積が見られた。一方KO株では,α3,β1が細胞-細胞間から内在する傾向が,α6,β4では細胞辺縁部に凝集する像がみられた。さらに定量RT-PCR法にてKO株のMMP2,7,9が減弱することから,免疫沈降法にてCD151がMMPと共沈するかどうかを検討した。CD151はMMP7と共沈することがわかり,細胞二重染色でも共局在を示した。 総合すると,ヒト皮膚腫瘍と基質の相互作用において,CD151はインテグリンの局在変化を通して細胞形態を変換させると同時に,MMPとくにMMP7の発現調節を通して基質リモデリングを促し,生体内で腫瘍の浸潤に貢献している可能性が示された。(Hasegawa M, Furuya Metal.Lab Invest2007;87:882-892)
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