2006 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変の胆管細胞アポトーシスにおける自然免疫の関与
Project/Area Number |
18590326
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 憲一 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (30283112)
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Keywords | 胆管細胞 / アポトーシス / 自然免疫 / Fas / 原発性胆汁性肝硬変 / caspase / PAMPs / NF-κB |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)は胆管細胞アポトーシスによる胆管消失を特徴とする自己免疫疾患で、病因として細菌感染症の関与が想定されている。今回ヒト培養胆管細胞を樹立し、胆管細胞アポトーシスの分子基盤および自然免疫の関与について解析した。その結果、胆管細胞はFas刺激で生存率が66%までに減少したが、主要なpathogen-associated molecular patterns(PAMPs)であるリポポリサッカライド(LPS)刺激では有意な細胞死は誘導されなかった。しかし、蛋白合成阻害剤(サイクロヘキサミド)やNF-κB阻害剤(MG132)の存在下ではFas刺激に対する感受性亢進やLPS刺激による有意な細胞生存率の低下が見られた。また、これらFas、LPSによる生存率低下はCaspase阻害剤でほぼ完全に抑制され、アポトーシスによる生存率低下であることが示唆された。さらに、胆管細胞はFas-caspaseシグナル系に存在するシグナル抑制分子群cFLIP、FAP-1、HIAP-1、HIAP-2、XIAPをすべて発現しており、特にHIAP-1はLPS刺激にて発現が亢進し、NF-κB阻害剤の存在下で亢進が阻害された。以上の結果より、蛋白合成抑制状態の胆管細胞ではPAMPsが直接アポトーシスを誘導しうることが示され、さらにPAMPsに対する抗アポトーシス効果の一つとしてNF-κB依存性のHIAP-1発現亢進が重要であることが示唆された。
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