2006 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌のプログレッションにおける遺伝子背景の分子病理学的解析
Project/Area Number |
18590328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
加藤 良平 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (30152755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 晋一 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (20229991)
中澤 匡男 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (10345704)
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Keywords | thyroid / progression / genetic alteration / pathology / cancer |
Research Abstract |
甲状腺腫瘍の形態所見と臨床像との関連あるいはホルモンを中心とした機能的側面について、病理学的な側面から種々の検討を加え、多くの実績をあげてきた(Katoh et al.Microsc Res Thch 60,2003)。近年はさらに実験的にラット甲状腺に腫瘍を作成し、発生した腫瘍をマイクロダイゼクション法を用いて結節のみからDNAを抽出することに成功し、PCR法を用いて蝦5遺伝子の変異を検討した(Kobayashi et al.,Virchows Arch 441,2002)。従来より日本人ではこの遺伝子変異は低率であるとされてきたが、近年の我々の研究では日本人乳頭癌における本遺伝子異常の率は、欧米人と有意な差が無いことを報告してきた。また乳頭癌ではまた興味あることにRET遺伝子再構成(RET/PTC)は若年者に発生する癌と密接に関係することを証明した(Nakazawa et al.Cancer 104,2005)。また、RET遺伝子再構成が証明されない乳頭癌の発生には、ras遺伝子やさらにMAP kinase系を刺激するBRAF遺伝子の異常も重要視されている(近藤哲夫ほか、2004年日本病理学会総会)。 甲状腺低分化癌は昨年発刊のWHO分類で正式にその概念が認知され、本邦の甲状腺癌取り扱い規約においてもその存在がクローズアップされた。現在まで、分化癌から低分化癌さらには未分化癌への転化におけるまとまった研究は報告されていない。我々は、従来の報告および自己の成果を踏まえ、濾胞上皮細胞から発生する甲状腺腫瘍のプログレッションについて背景となる遺伝子異常の機構を解明することを目的とした。その結果は、治療の困難な甲状腺癌の発生機構を解明するもので、腫瘍病理学的な興味とともに、臨床的な治療の立場からも有用な情報を与えるものと考えている。さらに、同じ分化癌でも将来的にプログレッションを起こしうるものかどうかの推定にも役立つものと考えている。
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