2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン非依存性前立腺癌での特異的癌遺伝子産物発現異常の検討と病理診断への応用
Project/Area Number |
18590331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
降幡 睦夫 高知大学, 医学部, 教授 (10209158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 英刀 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50361621)
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Keywords | 前立腺癌 / ホルモン療法 / 遺伝子解析 / 病理診断 / 組織化学 |
Research Abstract |
外科的に切除されたホルモン非依存性前立腺癌の未固定凍結材料を用い、Nikon社マイクロディセクションシステムEZCutを用いることで、前立腺癌の各腫瘍組織材料切片より正常部、前癌病変部、腫瘍部の目的細胞を採取、これらをDnase処理後RNAを抽出し、RNA増幅後、cDNAマイクロアレイ解析を行い、目的とする前立腺癌に特異的な新規癌関連遺伝子発現を検討した。cDNAマイクロアレイ解析に関しては、National center for Biotechnology InformationのUniGeneデータベースを基に選択された23,040種のcDNAを有するcDNAチップを使用し、Imaging Research社のArray Visionソフトウエアを用いて解析を行った。その結果、MICAL familyの一つと考えられる新規遺伝子として、MICAL2-PV遺伝子の過剰発現を前立腺癌組織において明らかにした。その代表的なMICAL1はシグナル伝達、細胞骨格の制御や免疫応答に重要な役割を担うCast1に結合するタンパクとして発見され、Vimentinとも結合することより、細胞骨格制御に関与すると考えられており、MICAL2-PVも同様の機能が推測される。MICAL2-PVは前立腺癌においては進行癌、特にGleason scoreの高い低分化型腺癌に高率に異常発現を認め、免疫組織化学的にもこれら癌細胞の胞体に強陽性反応を認めた。MICAL2-PVタンパク発現は、正常前立腺組織では弱陽性を呈するのみであり、前癌病変から高分化腺癌、中分化型腺癌と分化度が低下するに従い陽性反応が強くなる傾向を示した。よってMICAL2-PVは、前立腺癌、特にGleason scoreの高い低分化型腺癌のマーカーとして利用出来るのみならず、それら高悪性度の前立腺癌の病態解析においても有用な癌遺伝子と考える。
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