2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝組織/細胞のС型肝炎ウイルス感染感受性に関する組織病理学的検索
Project/Area Number |
18590338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊倉 義弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00240953)
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Keywords | C型肝炎 / 宿主因子 / SR-B1 / 抗ウイルス療法 |
Research Abstract |
近年の、C型肝炎に対する抗ウイルス療法の治療成績向上には、目をみはるものがあり、その点ではC型肝炎はすでに、治療により完全治癒を強く期待し得る疾患へと変容しつつある。しかしながら同時に、残された課題も明確になってきた。他の感染症と同様、endemicのコントロールは、感染患者を一人でも多く感染状態から離脱させ、治癒に導くことである。感染ウイルス側のfactorのみ考慮のうえ、確立された現在のインターフェロンを基軸とした治療法には限界があり、治療抵抗性の発生を完全に回避することは出来ない。またウイルスの陰性化を得たにもかかわらず、病理組織学的には炎症および線維化が遷延し、さらに肝細胞癌の発生をみることもある。これらの事実は、ウイルス因子に偏重していたこれまでとは治療方針および研究の視点を変え、宿主因子側から検討する必要性があることを示唆している。 C型肝炎ウイルスが発見された比較的早期から、病理学的手法により、患者側の因子の検討が重要であることを継続的に示してきた。インターフェロン療法に影響をおよぼしうる組織学的因子として、肝細胞の脂肪化は広く知られるところとなっている。これまでに、治療成果に加えてウイルス感染の成立そのものに、肝細胞脂肪化が深く関連している可能性を示してきた。平成18年度の本研究においては、脂肪化の側面からC型肝炎感染へのvulnerabilityを究明することを試みた。肝臓の生検あるいは剖検組織片をもちいた免疫組織学的研究により、肝細胞の脂肪化はウイルス感染に先行し、これに関連して引き起こされる酸化傷害の様々な変化、すなわち細胞膜リン脂質の酸化変性や脂肪滴形成に必須の蛋白であるアディポフィリンの発現を伴った肝細胞の風船様変性などが観察され、肝臓の脆弱性を高め、ひいては易感染性をもたらしている可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)