2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群の冠動脈血栓形成における酸化ストレスの役割についての分子病理学的研究
Project/Area Number |
18590339
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上田 真喜子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10137193)
|
Keywords | 急性冠症候群 / 冠動脈血栓 / 酸化ストレス / 好中球 / 血小板 |
Research Abstract |
急性冠症候群の発症においては、冠動脈内の血栓形成とそれによる内腔閉塞が直接的なひき金になることが明らかにされているため、ヒト冠動脈プラークにおける血栓の形成・進展および凝固メカニズムの解明が急務である。酸化ストレスとは生体内での酸化と抗酸化のバランスが崩れ、酸化の方に傾いた状態を指しているが、酸化ストレスの充進は内皮細胞の傷害や細胞老化による機能障害、および酸化LDL生成の増大をもたらす。内皮細胞障害は抗血栓能を低下させ、さらに酸化LDLは血小板粘着の亢進や内皮細胞の線溶機能を低下させることにより、血栓形成を増大させることが実験的に示唆されている。また近年、ヒトでの酸化ストレス亢進や酸化LDL生成増大に寄与する候補物質として、好中球のミエロペルオキシダーゼがクローズアップされている。本研究は、急性冠症候群の発症予知および抑制をめざして、急性冠症候群の発症に直結するヒト冠動脈血栓形成・進展メカニズムについて、特に酸化ストレスや好中球ミエロペルオキシダーゼとの相互連関の観点から解明しようとするものである。 平成18年度は、ヒトの冠動脈や頸動脈から不安定プラーク標本を凍結材料も含めて収集し、プラーク破裂・びらん部位における血小板・好中球連関について明らかにし、アメリカ循環器学会(AHA)やアメリカ心臓病学会(ACC)で発表した(JAm Coll Cardiol 2007,Circulation 2006)。また、不安定プラークにおける血栓形成と酸化ストレスの関連についても明らかにして、論文として発表した。(Arterioscler Thromb Vasc Biol 2006,Circ J 2007,in press)さらに、不安定プラークにおける好中球活性化、ミエロペルオキシダーゼの発現に伴う酸化ストレスに関連して、ネオプテリンの発現増強がみられることも明らかにして、論文がacceptされ、現在、論文印刷中である (Heart 2007,in press )。
|
Research Products
(7 results)