2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪性腫瘍の発生機構に関する分子遺伝学的解析とその病理診断学的応用
Project/Area Number |
18590344
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣瀬 隆則 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (00181206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石沢 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10327025)
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Keywords | 隆起性皮膚線維肉腫 / 線維肉腫 / RT-PCR / FISH / COL1A1-PDGFB |
Research Abstract |
隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)は時に線維肉腫様変化を示し、転移する可能性が高くなる。この悪性転化の機構を明らかにするために、分子遺伝学的解析を行った。検討した症例は19例で、13例は通常型DFSP、6例は線維肉腫様DFSP (DFSP-FS)である。免疫組織化学的にCD34、p53、Ki-67の発現を検討した。またホルマリン固定、パラフィン包埋材料を用いて、RT-PCR法によりDFSPに特徴的とされるfusion gene、COL1A1-PDGFBを、またFISH法によりPDGFBの転座の検出を試みた。免疫組織化学的に、CD34陽性所見がDFSP領域では16/17(94.1%)、FS領域では5/6(83.3%)で得られた。Ki-67標識率はDFSPで1-15.5%(平均4.7%)、FSで9.7-31.4(平均20.2%)で、後者での標識率が有意に高かった。またp53の過剰発現が認められたのはわずかにDFSP-FSの2例であった。RT-PCR法によりCOL1A1-PDGFB fusion transcriptが、DFSPの14/15(93.3%)、FSの5/5(100%)と、大部分の症例で確認された。COL1A1の切断点は、exon 5(2例)、8(1)、11/46(1)、20(1)、23(4)、26/31(1)、32(4)、38(1)と多彩であり、DFSPとDFSP-FSでは明らかな違いはなかった。また両領域の比較が可能であったDFSP-FSの4例では、両者の切断点は同一であった。FISH法によるPDGFBの再構成はDFSP領域で12/13(92.3%)、FS領域で4/5(80%)で確認された。今回の検討から、DFSPおよびDFSP-FSのほぼ全例でRT-PCR法とFISH法によりPDGFB遺伝子の再構成が確認され、これらがDFSP腫瘍群の診断に有用であることが示された。p53過剰発現はDFSP悪性化の主要因とは考えられず、別の分子機構の関与が推測された。
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