2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪性腫瘍の発生機構に関する分子遺伝学的解析とその病理診断学的応用
Project/Area Number |
18590344
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣瀬 隆則 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (00181206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石澤 啓介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10327025)
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Keywords | シュワン腫 / 後腹膜 / 免疫組織化学 / S-100 protein / Sox10 / Ki-67 |
Research Abstract |
後腹膜に発生するシュワン腫は良性腫瘍にもかかわらず、しばしば巨大となり、黄色調を呈してくるため、脱分化型脂肪肉腫を含む他の肉腫との鑑別が重要である。今回、後腹膜原発シュワン腫12例を、縦隔原発10例およびその他の部位に発生した10例と比較検討し、その特徴を明らかにした。組織学的検討とともに、S-100protein、Sox10、INI1、CD68、CD31、Ki-67の免疫染色を実施した。組織学的に、シュワン腫は通常型、陳旧型、富細胞・束状型の3型に分類された。富細胞・束状型では、紡錘形の腫瘍細胞が密に束状配列を示し、通常型の特徴は目立たない。後腹膜シュワン腫12例のうち、半数の6例は富細胞・束状型であった。後腹膜以外では、縦隔の1例だけが富細胞・束状型で、他は通常型あるいは陳旧型であった。免疫組織化学的に、すべてのシュワン腫で、S-100protein、Sox10がびまん性に陽性であった。CD68免疫染色により、富細胞・束状型の4例に泡沫細胞の集簇巣が認められ、特徴的な所見と考えられた。また同型ではCD31陽性の異常血管の出現頻度が低かった。Ki-67は、ほとんどの例が低標識率であったが、富細胞・束状型では部分的に比較的高い標識率を示す部分が含まれていた。今回の結果から、後腹膜に発生するシュワン腫は、約半数が富細胞・束状型の組織所見を示し、またKi-67標識率の高い部位が混在するため、悪性末梢神経鞘腫瘍、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、線維肉腫、脱分化型脂肪肉腫などの紡錘形細胞肉腫との鑑別を要する。診断には、シュワン細胞マーカーであるS-100protein、Sox10のびまん性陽性像が有用であると考えられた。
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