2008 Fiscal Year Annual Research Report
間質微細環境変化からみたp53非依存性炎症性発癌の解明及び発癌予測システムの構築
Project/Area Number |
18590346
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉田 功 Kitasato University, 医学部, 講師 (90316943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡安 勲 北里大学, 医学部, 教授 (20014342)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 発癌 / 炎症 / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
平成20年度においては、潰瘍性大腸炎(UC)におけるp53系の負荷状態をUC関連癌細胞株に対する酪酸刺激というin vitro再現系における遺伝子発現変化をcDNA microarray-Percellome法で解析し、そこから得られた候補遺伝子のうち、定量RT-PCR、ウエスタンブロッティング及びsiRNAによる抑制実験により、CITED2(CBP/p300-interacting transactivator, with Glu/Asp-rlch carboxy-termianl domain,2)がp53系を活性化することを見出した。すなわち、(1)酪酸刺激によりCITED2発現が誘導される、(2)酪酸刺激及びCITED2強制発現により(1)p53のアセチル化が認められ、p53蛋白質の安定化が見られる、(2)p53下流分子のmRNA、蛋白質発現が誘導されること、(3)p53依存性アポトーシスを誘導すること、が明らかとなった。また酪酸刺激によるp53依存性アポトーシスは酪酸の細胞内取り込みを担うMCTiの阻害剤によって抑制された。CITED2がCBP/p300と酪酸刺激下で結合することを免疫沈降で確認した。以上の結果は酪酸刺激によるp53活性化にCITED2が直接関わっていること示したものであり、UC患者大腸炎組織において、その炎症・活動性とCITED2の陰窩上層上皮における発現性が相関を示すことも新たに明らかにした。UCにおいて腸内細菌に由来する局所の高濃度酪酸が陰窩上皮のびらんを誘導することの機序を明らかにしたと考えられる。このびらんにより細菌が間質に存在するマクロファージへ曝露され、炎症性サイトカインの誘導により好中球を遊走させることがUCの病態の一つと考えられる。これらの結果はUC炎症機序にCITED2が重要な役割を果たすことを示すものであり、UC炎症に対する新たな治療標的にも成りうる貴重な成果である。この結果は現在学術誌に投稿中である。
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Research Products
(4 results)