2007 Fiscal Year Annual Research Report
小児IgA腎症の病理組織の解析と予後予測-腎症進展阻止を目指す病理情報の蓄積
Project/Area Number |
18590353
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
北村 博司 Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization, 免疫病理研究部, 病理研究室長 (40287701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城 謙輔 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), 免疫病理研究部, 免疫病理研究部長 (10057086)
松村 千恵子 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), 第四診療部, 小児科医長 (00415449)
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Keywords | 病理学 / IgA腎症 / 小児 / 腎生検 |
Research Abstract |
IgA腎症では多彩な組織像を呈するが、病変を急性障害所見と慢性障害所見に大別し病変について半定量的に評価を加え、ステロイド剤(ス剤)の有無による治療反応性との観点から検討した。腎生検によりlgA腎症と確定診断され治療後2年以上の経過後に再生検を受けた15歳以下の小児例を対象とした。臨床指標として尿所見異常、血清クレアチニン値を用い、ス剤を4週間以上使用した症例をス剤治療群、その他の治療を受けた症例をス剤非治療群とした。腎組織の解析では、メサンギウム増殖、急性管内性病変、急性管外性病変、急性間質炎症細胞浸潤を急性活動性病変、糸球体硬化、慢性管内性糸球体病変、慢性管外性病変、間質線維化を慢性病変とし、各項目をスコアー化し半定量的評価を加えた。昨年度よりさらに症例を集積して解析した結果、下記の所見を得た。ス剤投与によりメサンギウム増殖・急性管内性病変・急性管外性病変は有意に改善した。ス剤非投与群では間質炎症細胞浸潤、慢性病変の進行を認めた。ス剤投与群のうち尿所見異常の消失群では糸球体硬化病変・間質線維化は悪化したが、メサンギウム増殖、急性管内・管外性病変、慢性管外性病変は改善した。尿所見異常の持続群では、メサンギウム増殖以外は改善は認めなかった。ス剤非投与群のうち尿所見異常消失群では、糸球体硬化以外は改善ないし不変であった。尿所見異常持続群では、間質炎症細胞浸潤と慢性障害は悪化した。初回生検時の組織では、ス剤投与にもかかわらず尿所見異常が持続した群は慢性障害が目立ち糸球体硬化は高値であった。ス剤は急性管内性病変、管外性病変の沈静化に寄与し慢性病変の進行を抑制することにより、予後の改善に有効であるが、初回生検にて慢性病変が強い症例では十分な効果がないことが示唆された。慢性障害所見が強い症例はス剤投与による治療効果に限界があり、turning pointについて検討する必要が示唆された。
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