2006 Fiscal Year Annual Research Report
がんー間質相互作用における新規誘導分子の同定・探索
Project/Area Number |
18590356
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
藤井 元 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 病理部, 主任研究官 (90321877)
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Keywords | がん間質相互作用 / 発現誘導 / 浸潤先進部 / スクリーニング / ラミニン5 / 遺伝子導入 / cDNAライブラリー |
Research Abstract |
当研究は、がん-間質相互作用に基づいて浸潤先進部のがん細胞で特異的に発現の増強もしくは減弱が見られる分子の発現を誘導しうる間質細胞を選び出し、そこで発現している遺伝子のcDNAライブラリーを作製して培養細胞へ導入しての発現アッセイを行うことで、発現誘導に関する<上流>分子を同定することを目的としている。 平成18年度では計画の実験的基盤となる培養細胞を用いてのモデル実験系を計画通り樹立できた。線維芽細胞MRC-5細胞またはHFL細胞との共培養によって、口腔がん細胞HO1-U1細胞で浸潤先進部マーカー分子であるラミニン5γ2分子の発現上昇が顕著に確認出来た為である。この線維芽細胞のラミニン5γ2分子発現誘導能は既知の上流因子であるEGFやTGFaと同等以上であり、さらにトランスフィルター培養より共培養の方が発現レベルの上昇が明らかに高いことから、分泌性ではない誘導分子の存在が想定されるという実際の浸潤先進部での理想的なモデル系となった。 そこでこのHO1-U1細胞おけるラミニン5γ2分子発現を指標とした遺伝子スクリーニング系を確立した。HO1-U1細胞のみの実験系では遺伝子導入能が低く、効率の良い検定が困難と考えられたので、共培養において中立的であり遺伝子導入能の高い細胞を補助的に利用することで、導入遺伝子からの発現誘導が感度良く検定可能な実際的な実験系になるよう工夫した。 MRC-5細胞またはHFL細胞の全長cDNAライブラリーを間質細胞由来の遺伝子ソースとして作製を行い、このライブラリーを導入しての免疫化学的スクリーニング(ラミニン5γ2分子に対するモノクローナル抗体を利用)がCloning FirstのHigh Throughput Screening系として実際に運用可能で有ることを年度内に確認出来た。
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