2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌組織型、遺伝子多型、遺伝子異常の3者による治療効果及び発癌感受性予測
Project/Area Number |
18590358
|
Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
土屋 永寿 Kanagawa Cancer Center Research Institute, 臨床研究所長 (00072314)
|
Keywords | 肺癌の個性 / 腺癌亜型 / 遺伝子変異 / p53 / K-ras / EGFR / 遺伝子多型 / 発がん因子 |
Research Abstract |
ヒトの個性、即ち多型と、癌の個性、即ち組織型や遺伝子異常、の相互関係を明らかにすることは、がんの予防(発がん感受性)や治療効果予測に重要である。肺扁平上皮癌、腺癌を対象として、癌の個性として、組織型・組織亜型、及び、遺伝子異常はp53、K-rasとEGFR変異、p16変異と発現異常、MDM2の発現異常を、ヒトの個性としてp53コドン72とMDM2プロモーター領域の多型を検索し、両個性と腫瘍の臨床病理学的因子との相関を調べることで、肺癌の治療効果予測や発がん感受性に関する因子を明らかにすることを目的とした研究を行っている。 検索対象は、手術切除され凍結保存された肺癌組織と正常組織で、扁平上皮癌112例、腺癌223例である。腫瘍の組織分類はWHO分類、腺癌の亜型分類はWHO及び我々が提唱している腺癌を構成する細胞の形態により5型に分類する細胞亜型分類を用いた。 平成18年度は扁平上皮癌のp53変異解析と、同症例の治療の有無と治療効果をカルテより検索した。平成19年度は、肺癌に於けるp53の解析結果をまとめ、また、腺癌を対象として検索を進め、亜型分類、p53、K-ras、EGFRの変異解析を終了し、p16の変異と発現異常を検索中である。 腺癌の個性に関する結果は以下のごとくであった。喫煙との関係をP53変異スペクトラムから解析した結果、細胞亜型分類を用いた場合には、喫煙と強い関連を持つ亜型と、弱い関連を持つ亜型に明瞭に区別された。各亜型は特徴のある遺伝子異常を有しており、5年生存率にも亜型間で有意な相違が認められた。しかし、WHO分類による亜型では、喫煙、遺伝子異常、5年生存率に関して前述のような関連は認められなかった。 以上、腺癌は個性を有しており、その個性は腺癌を構成している細胞形態により分類することが可能であった。
|
Research Products
(2 results)