2006 Fiscal Year Annual Research Report
EBV,HTLV-1遺伝子産物を標的とした免疫治療に重要な癌抗原ペプチドの同定
Project/Area Number |
18590360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小林 博也 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90280867)
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Keywords | HTLV-1 / Tax / T cell / ペプチド / エピトープ / HLA / ワクチン / 腫瘍 |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)ウイルス(HTLV-1)で白血病の発症に重要なウイルス蛋白の一つであるTaxを標的に、それに対するTヘルパー応答を健常成人末梢血を用いて解析した。アルゴリズム解析でpromiscuousにHLA-DR分子に結合しそうなエピトープペプチドを推測し合成した。樹状細胞にペプチドをパルスしCD4陽性T細胞と共培養することでペプチドに反応するヘルパーT細胞クローンを樹立した。得られたT細胞クローンはいずれもHLAクラスII拘束性であった。二つのエピトープが同定された。一つはTax191-205でHLA-DR1あるいはDR9拘束性で、もう一つはTax305-319でHLA-DR15あるいはHLA-DQ9拘束性であった。いずれのエピトープペプチドも複数のHLAクラスII分子に提示されてT細胞を活性化する性質を持つことからも明らかなようにpromiscuous peptideである。 これらのエピトープペプチドがワクチン療法に寄与するためには、抗原提示細胞がウイルス蛋白を取り込んでプロセスしたものを、樹立したヘルパーT細胞クローンが認識することを証明する必要がある。樹立したT細胞クローンは、1)HLAクラスII拘束性にHTLV-1Tax陽性白血病細胞株を認識しIFN-γを放出した、2)自己の樹状細胞にHTLV-1Tax陽性白血病細胞株から調整したライセートをパルスしたものに反応し、HLAクラスII拘束性にサイトカインを産生した。また、HAM患者末梢血から調整したライセートにも反応した。これらの結果は、今回明らかにされたHTLV-1Tax191-205とTax305-319のエピトープが生体内の抗原提示細胞上にも発現しうるnaturally processed antigenic epitopeであることを示している。したがってATLに対するペプチドワクチンの候補としてヘルパーT細胞から抗腫瘍効果を惹起せしめるエピトープペプチドである可能性が示唆された。 以上の結果は、Clin Cancer Res 12:3814-3822,2006に発表した。
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