2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌およびその転移巣における骨髄幹細胞の取り込みの解析
Project/Area Number |
18590363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 幸世 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 准教授 (70301819)
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Keywords | 胃癌 / 骨髄 / 骨髄幹細胞 / 胃癌転移 / 胃発がん |
Research Abstract |
C57BL/6マウス6週齢30匹に対し、9Gyの放射線照射後、GFPマウスまたはROSA26マウスの骨髄を移植した。放射線照射のダメージから回復する2週間後から胃発癌剤であるMNUを240 ppm隔週9週間投与した。基礎実験においては1年後に約8割のマウスに胃発がんが認められる予定であったが、発癌剤投与1年後に発がんが認められたのは1匹のみであった。この1匹では脾臓に転移を形成していたが、胃癌は微小と思われ、癌として組織切片上同定できなかった。そのため、正確には原発臓器は不明である。しかし、今までの報告にてMNUにてマウスに発癌する臓器は胃と肺であると報告されている。このため、脾臓に転移していた癌は胃由来である可能性が高いと思われる。脾臓の転移巣にはROSA26マウス由来の細胞が認められた。この結果より、恐らく胃原発の癌からの転移巣にも骨髄由来細胞が認められることがわかった。しかし、30匹中1匹のデータでは発表に至らず、現在、追試中である。この結果が得られれば、胃癌では原発巣のみならず、その転移巣でも骨髄由来細胞の取り込みがあることとなり、転移をきたした胃癌に対する治療法として遺伝子操作を施した骨髄細胞移植が利用できる可能性がある。発癌率が低かった理由は不明であるが、マウス飼育環境が不良であった可能性はある。追試においては、より発癌率が高いと報告されているBALB/cマウスをレシピエントとして使用している。系統の違うマウスに対しての骨髄移植を可能とするため、採取骨髄をウサギの補体にて処理する方法を採用した。
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