2006 Fiscal Year Annual Research Report
LKB1キナーゼ欠失による肝前癌病変形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
18590368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三好 弘之 京都大学, 医学研究科, 助手 (30362479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 敦子 京都大学, 医学研究科, 研究員 (10422932)
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Keywords | 肝臓癌 / LKB1 / キナーゼ / マウス / マイクロアレイ |
Research Abstract |
1.LKB1欠失による遺伝子発現変化の解析 野生型マウス肝臓、Lkb1+/-マウス肝臓正常部およびHCCの遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイ解析によって比較し、HCCで発現が上昇する遺伝子の一つとしてProminin-1を見いだした。Prominin-1は、正常肝細胞では発現していないのに対し前癌病変部、HCCで強い発現が観察された。この発現上昇は化学発癌剤であるDiethylnitrosamineで誘導したHCCでは認められなかったことから、Prominin-1がLkb1+/-マウスで認められる前癌病変の特異的マーカーになりうることが示唆された。また、他にも前癌病変部で発現の変化する因子を複数同定した。 2.微小管安定性に対するLKB1の働き LKB1が微小管安定性を制御するメカニズムを明らかにした。LKB1の基質の一つであるMARK2はTauなどの微小管結合蛋白をリン酸化することによって微小管から解離させ、微小管を不安定化する。LKB1から微小管不安定化に至るシグナル経路を証明するため、LKB1、MARK2、Tauのリコンビナント蛋白を用いてin vitroチュブリン重合反応を行ったところ、LKB1は濃度依存的にチュブリンの重合反応を抑制した。また、Lkb1-/-マウス由来の線維芽細胞にLKB1を発現させるとノコタゾール処理後の微小管の再合成反応が抑制され、LKB1をノックダウンしたHepG2細胞では逆に促進されることから、細胞内でもLKB1がチュブリンの重合反応を抑制することが示された。 3.LKB1新規標的因子の同定 Lkb1-/-マウス由来の線維芽細胞より蛋白を調整し、LKB1と相互作用することが予想される複数の因子を免疫沈降法によって分離した。これらを基質としてLKB1のキナーゼアッセイを行ったところ、核タンパクであるBrg-1を免疫沈降したサンプルで、Brg-1とは異なる分子量のタンパクがリン酸化された。このことから、Brg-1と相互作用する別の因子がLKB1の基質であることが示唆された。
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