2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物トランスポーターの発現制御機構の解明と抗癌剤耐性克服への応用
Project/Area Number |
18590379
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
今井 康雄 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (10342651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤盛 孝博 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30095385)
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Keywords | 腫瘍 / 癌化学療法 |
Research Abstract |
ABC輸送体ABCG2/BCRPはマイトザントロン,SN-38(イリノテカンの代謝活性化体),トポテカンなどの抗癌剤を細胞外に排出するポンプとして働き,腫瘍細胞に抗癌剤耐性を引き起こす。今までの研究によりエストロゲンレセプター陽性乳癌細胞株では,ABCG2の発現がエストロゲンにより転写以降の段階で劇的に抑制されることが分かっていたが,エストロゲン自体の生理作用のためABCG2の発現抑制のため使用することは困難であった。 そこでエストロゲンに代わりABCG2の発現抑制を可能にする薬剤耐性克服剤を探索する目的でEGFレセプターを発現していることが知られている胃癌細胞株NCI-N87にABCG2を安定的に高発現させたN87/ABCG2細胞を樹立して様々な化合物による外因性ABCGの発現量の変化について検討した。 N87/ABCG2細胞は親株であるN87細胞と比較してIC50においてSN-38で5倍,マイトザントロンで2.6倍の薬剤耐性を獲得した。また,MAPK阻害剤であるPD98059とU0126が外因性ABCG2の発現量を著しく抑制することを見い出した。これらの化合物はN87/ABCG2細胞のSN-38に対する耐性をほぼ完全に克服した。また,PPARgamma阻害剤であるトログリタゾンが外因性ABCG2発現を濃度依存性に亢進させることも同時に見い出した。 MAPK経路の活性化により核でのPPARgammaの転写が亢進することが知られており,MAPK阻害剤による外因性ABCG2発現抑制の機序についてさらに検討を進めている。
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