2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスに対応する新しいシグナル伝達制御機構の解析
Project/Area Number |
18590381
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
竹腰 進 Tokai University, 医学部・健康科学部, 准教授 (70216878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 俊也 東海大学, 医学部, 准教授 (70197234)
長村 義之 東海大学, 医学部, 教授 (10100992)
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Keywords | protein kinase C / diacylglycerol / oxidative stress / lipid peroxidation / neuron / brain / signal transduction / MAP kinase |
Research Abstract |
プロテインキナーゼC(PKC)は、イノシトール燐脂質情報伝達系のkey enzymeであり、種々のlipidmediatorの中でもジアシルグリセロール(DAG)によって活性化されることにより様々な細胞応答に重要な役割を果たしている。我々はDAGが過酸化されることによりnative DAGの約3倍のPKC活性化作用を持つ強力な活性化物質に変質することを証明し、機能性脂質(DAG)の過酸化によるPKC過剰活性化と蛋白リン酸化反応の異常亢進による病変発生の可能性を示唆してきた。一方、過酸化DAGによう神経細胞傷害の機序を検討する過程で、脳組織中には過酸化DAGに強い結合性を有するがシグナル伝達の特性の全く異なる2種の新しいPKC分子(PKC-X:シグナル伝達促進性、PKCδSV:シグナル伝達抑制性)の存在が強く示唆された。本研究では、過酸化DAGに応答する新しいPKC分子種(PKC-X、PKCδSV)によるシグナル伝達促進・抑制の分子機構を培養細胞系およびin vivoの脳組織中において厳密に検証し、酸化ストレス傷害におけるこれらの正負のシグナル伝達分子の役割を追求することを目的とした。平成19年度は、PKCδ、PKCδSVの遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを作成した。ラット副腎髄質褐色細胞腫由来のPC12細胞に作成したアデノウイルスベクターを用いPKCδおよびPKCδSV遺伝子の導入を行った後、細胞増殖を促進するPKC活性化物質であるホルボールエステルによる刺激実験を行った。その結果、PKCδを導入した細胞では細胞増殖が促進されたが、PKCδSVを導入した細胞では増殖が有意に抑制された。このことからPKCδSVはPKCδの活性を制御する分子であることが強く示唆された。現在、過酸化DAGによるPKCδを介した神経細胞傷害誘導をPKCδSVが抑制しうるか検討中である。
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[Book] 組織細胞化学20072007
Author(s)
竹腰 進
Total Pages
231-238
Publisher
レーザーマイクロダイセクションと病理診断
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より