2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590383
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田村 和広 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (70281409)
|
Keywords | 下垂体腫瘍 / プロラクチノーマ / エストロゲン / ソマトスタチン / 組織再生因子 |
Research Abstract |
今年度は、下垂体腫瘍の進展におけるエストロゲン作用と視床下部ホルモン・ソマトスタチン(SST)の受容体機能及び相互の関係を検討した。ラット下垂体由来のGH3腫瘍細胞を移植した動物に、17β-エストラジオール(17β-E2)またはカテコールエストロゲンである4-ヒドロキシエストラジオール(4-OHE2)を投与すると、腫瘍の増大と血中プロラクチン(PRL)値の上昇がみられた。その効果は、17β-E2よりも4-OHE2で強いことが判明した。培養GH3腫瘍細胞の増殖は、4-OHE2により促進され、その効果はインスリンで増強された。この増殖促進作用は、エストロゲン受容体(ER)アンタゴニストで抑制されたが、特異的ERαアゴニストとER発現解析の結果から、この2増殖促進作用には、一部ERαを介したMAPキナーゼ経路の活性化が関与することが示唆された。培養GH3腫瘍細胞には、SST受容体サブタイプ1(SSTR1)が主に発現しており、この発現はインスリンにより抑制された。しかし、GH3細胞はD2受容体及びPRL受容体を発現しておらず、増殖に対するドパミンアゴニスト・カベルゴリンの影響はなかった。4-OHE2Eとインスリン存在下でのGH3腫瘍細胞の増殖促進には、MEKリン酸化を伴うMAPキナーゼ経路の活性化が関与しており、SSTはこの経路を阻害した。インスリンは、一部、SSTR1発現の抑制を介して4-OHE2による増殖促進を増強することが推察された。ヒト下垂体腫瘍において機能性腺腫のプロラクチノーマ(PRLoma)のほとんどの症例でSSTR1とSSTR5の発現が認められたが、多くの非機能性腺腫ではその発現が低レベルであった。 以上、下垂体腺腫の進展には、エストロゲン刺激による増殖シグナルが重大な影響を与え、一方、SSTはERα受容体を介したこのシグナル系に対して抑制的に働くことを確認すると共に、PRLomaでのSSTR1とSSTR5の重要性を示した。
|