2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590389
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
落合 淳志 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 臨床腫瘍病理部, 部長 (60183034)
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Keywords | 前立腺がん / 骨転移モデル / 男性ホルモン依存性 / 造骨性転移機構 / PSA / マクロファージ / インターロイキン4 / 治療抵抗性 |
Research Abstract |
前立腺癌はホルモン依存性に増殖し、抗男性ホルモン治療により一旦は反応するが、多くの症例で骨転移を起こし再発する。前年度までに前立腺癌骨転移に関かわる骨髄由来細胞、特にマクロファージが男性ホルモン依存的に浸潤している事が示された。今年度は、SCIDマウスに男性ホルモン依存性ヒト前立腺癌細胞株を移植し、マウス睾丸を切除することによりマウス男性ホルモンを枯渇させる事により、抗男性ホルモン療法を行なった。同時にヒトマクロファージをヒトがん細胞株とともに移植する事で前立腺癌が移植できるかを検討した。現在マクロファージは炎症に対して反応するM1マクロファージと腫瘍内に多く存在するM2マクロファージに分類する報告がある。M2マクロファージは貪食能が高いが、抗原提示の働きは乏しく、また腫瘍血管新生に働くサイトカイン(IL-8)の産生が高い事が示されている。本実験に用いたマクロファージは健常人肘静脈より採取し、M-CSFとインターロイキン4(IL-4)による刺激によりM2マクロファージへ分化させた。ヒト前立腺癌細胞株は徐睾マウスでは移植後増殖は認められないが、ヒトマクロファージを一緒に移植したマウスでは徐睾した後、3ヶ月後に腫瘍形成をしめした。これは、動物モデルを用いたヒト前立腺癌細胞のホルモン依存性治療抵抗性モデルが初めて確立できたと考えられる。また、本モデルにより得られた結果はマクロファージの存在が、前立腺癌の増殖に重要な働きをするだけでなく、男性ホルモンが欠乏した状態においても、ヒト前立腺癌の生存に重要な役割を果たしている事を示している。現在、M2マクロファージによる前立腺癌の抗ホルモン治療抵抗性の分子機構を解明するために、試験管内モデルを作りつつある。
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