2007 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症が膵管がん発生に及ぼす促進的影響とそのメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
18590390
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
高橋 真美 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん予防基礎研究プロジェクト, 室長 (90214973)
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Keywords | 膵がん / 高脂血症 / ハムスター / PPARγ / リポ蛋白リパーゼ / BOP / OLETFラット / 糖尿病 |
Research Abstract |
抗高脂血症作用を有するPPARγのリガンドのハムスターへの投与が血清脂質レベルの低下とともにBOP誘発膵管発がんを抑制した。そこで、今年度は、BOP誘発ハムスター膵管がん組織及び肝臓や脂肪組織における各種蛋白質発現について調べ、その作用機構を検討した。また、動物実験にて、メカニズムの異なる抗高脂血症剤のBOP誘発ハムスター膵管発がんへの影響を末梢膵管増生等を指標にして検討した。 1.PPARγリガンドのBOP誘発ハムスター膵管発がん抑制メカニズムの検討 PPARγのリガンドであるピオグリタゾンによるBOP誘発ハムスター膵管発がん抑制実験において用いた動物の肝臓及び脂肪組織での各種蛋白質発現をRT-PCRにより調べたところ、肝臓中の脂質代謝関連酵素であるLPLの発現はピオグリタゾン投与によって上昇し、脂肪組織中のPAI-1のmRNAの発現はピオグリタゾン投与によって低下していた。 2.各種抗高脂血症剤のBOP誘発ハムスター膵管発がんに対する抑制効果の短期試験による検討 作用メカニズムの異なる抗高脂血症剤の高脂血症改善効果と膵管発がんに対する抑制効果を、BOP誘発ハムスター膵管発がん系にて末梢膵管増生等を指標にして検討した。PPARαリガンドの抗高脂血症剤であるベザフィブレート(800ppm)の投与は、ハムスターにおいて血清脂質改善作用を示さなかったが、BOP誘発末梢膵管増生を対照群の約6割に減少させた。インスリン非依存性糖尿病薬であるビグアナイド系血糖降下剤のメトホルミン(1000ppm)のハムスターへの投与は、血清脂質レベルを低下させるとともに、BOP誘発末梢膵管増生を対照群の約8割に減少させた。 血清脂質値を改善すると発がんが抑制されたが、血清脂質値が高いままでも発がん抑制効果が見られる場合があったことから、血清脂質自体が直接発がんを促進しているというより、高脂血症によって誘導される因子が発がん促進に関与している可能性が考えられる。
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