2006 Fiscal Year Annual Research Report
GFP遺伝子導入胃癌・大腸癌細胞株を用いたリンパ節転移機構の解析
Project/Area Number |
18590394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
中西 速夫 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 室長 (20207830)
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Keywords | リンパ節転移 / 胃がん / 大腸がん / リンパ管新生 / リンパ管内皮細胞 / VEGF-C / Podoplanin |
Research Abstract |
胃がん、大腸がんの予後を規定する最も重要な因子であるリンパ節転移の機構を解明するため、その鍵を握る腫瘍リンパ管新生について検討し、今年度は以下の諸点を明らかにした。1)大腸癌における腫瘍リンパ管新生のin vivoにおける実態を明らかにするためにリンパ管内皮特異抗体、D2-40(我々はエピトープがPodoplaninである事を明らかにしている)を用いて大腸癌臨床例61例のリンパ管新生の検討をおこなった。その結果、リンパ管新生は血管新生とは異なり腫瘍周囲で起こり、繊維性間質の豊富な腫瘍組織内ではむしろ正常組織に比べ減少していることが明らかとなった。またがん細胞のリンパ管侵襲は腫瘍先進部の芽出(budding)部位の新生リンパ管で起きていることを示唆する所見を得た。次にこれら臨床例の腫瘍リンパ管新生に関する観察結果を実験的に検証するためにDsRed遺伝子を導入した大腸癌リンパ節転移細胞株(COLM-5)とFITC-Dextranを用いたmicro lymphangiographyを組み合わせてヒト大腸がんの腫瘍リンパ管新生をヌードマウスの系で解析した。その結果、臨床材料の観察結果と同様に、腫瘍リンパ管は腫瘍組織内ではなく腫瘍周囲の既存のリンパ管から新生され、実験モデルでも腫瘍細胞のリンパ管侵襲は腫瘍辺縁部で起きることを示唆する所見を得た。2)VEGF-Cのリンパ節転移における役割を明らかにするため、リンパ節転移能を有するVEGF-C産生性ヒト大腸癌および胃癌細胞株に大腸菌(E.coli cells, JM109)で増幅、精製したsmall hairpin RNA plasmids, Human VEGFCベクター(SuperArray)をlipofectoamineによりtransfectionした。Transientの発現系ではmRNAレベルの発現抑制は確認しており、現在、G418選択により安定発現株の分離をこころみている。3)腫瘍細胞とリンパ管との相互作用を解析するためにHPVE6,E7およびhTERT遺伝子を導入して作成したヒト不死化リンパ管内皮細胞株(HuTLEC)および上記大腸癌リンパ節転移細胞株、COLM-5を組み合わせたin vitro解析システムを用いてCOLM-5細胞の培地中にVEGF-C刺激に比べAP1,Sreなどの転写因子の数倍高い転写活性をluciferase assayで検出し、VEGF-C以外の新しい管腔形成促進因子が存在する可能性を見出した。
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