2007 Fiscal Year Annual Research Report
宿主アポトーシス抑制因子を利用したトリパノソーマの生き残り戦略の分子機構
Project/Area Number |
18590398
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
嶋田 淳子 Gunma University, 医学部, 教授 (20211964)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑生 俊光 群馬大学, 医学部, 助教 (60344917)
|
Keywords | 応用微生物 / 感染症 / 寄生原虫 / アポトーシス |
Research Abstract |
南米型トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)感染細胞ではdeath receptorを介するアポトーシスが抑制され,宿主抑制因子c-FLIPの発現が上昇していることを明らかにしてきた。c-FLIPタンパク質はユビキチンープロテアソーム系により分解されることが知られているが,がん細胞などでは分子内のシステイン残基がニトロソ化されることによりユビキチン化が起こらず,細胞内に蓄積されることが報告されている。そこで,T.cruziを感染細胞においてc-FLIPのニトロソ化が起きるかどうか調べた。ヒト由来培養細胞にT.cruziを感染させ2〜4日培養し,ライセートを調整した。抗c-FLIP抗体により免疫沈降し,上清および沈殿画分について抗ニトロソシステイン抗体でイムノブロットを行った。非感染細胞では沈殿画分にc-FLIPが検出されたがニトロソ化されているものはほとんど認められなかった。一方,感染細胞では沈殿および上清画分にc-FLIPが認められ,上清画分では抗ニトロソシステイン抗体に反応するバンドが検出された。以上より,感染細胞のc-FLIPはニトロソ化が起こっている可能性が示唆された。感染細胞におけるプロテアソーム活性を測定したところ,非感染細胞のKm値は56μM,Vmax値は0.22RFU min-1 μg-1であったのに対し,感染細胞ではKm値は50μM,Vmax値は1.67RFU min-1 μg-1であり,Vmax値が感染細胞で高いことが示された。この理由の1つとしては,原虫のプロテアソーム活性も同時に測定されたためと考えられた。以上より,感染細胞でもc-FLIPのユビキチン化は起こり,プロテアソーム活性は非感染細胞よりもむしろ高く,おそらく正常に働いていることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)