2006 Fiscal Year Annual Research Report
回虫メトヘモグロビン還元系におけるシトクロムb5の構造特異性と生理機能解析
Project/Area Number |
18590406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高宮 信三郎 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90138206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山倉 文幸 順天堂大学, 医学部, 助教授 (20053358)
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Keywords | 蛋白質 / X-線構造解析 / 結晶化 / 回虫 / シトクロムb5 / ヘモグロビン |
Research Abstract |
本年度は以下の4項目、すなわち、1、リコンビナント回虫シトクロムb_5蛋白の大量調製、2、回虫シトクロムb_5蛋白の結晶化、3、回虫シトクロムb_5結晶蛋白のX線構造解析、4、回虫シトクロムb_5と哺乳類シトクロムb_5の分子構造の比較解析、を計画した。これらはほぼ予定どおりに遂行され以下にのべる成果を得ることができた。 b5wtによりトランスフォームした大腸菌を大量培養し、IPTGで発現を誘導後、菌体を遠心により収集した。菌体から凍結融解により、リコンビナント蛋白を抽出し、透析後CMセルロファインイオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製した。この標品をもちいて結晶化条件を蒸気拡散法で検討したところ、3.2Mの硫安濃度で赤色の平板な結晶を得ることができた。大型放射光施設(Photon Factory,筑波)において結晶に放射光を照射、回折強度を測定し、結晶学的パラメーターを決定した。結晶は単斜晶系、空間群C2,格子定数はa,b,c,βそれぞれ、103.2,41.8,49,8Åおよび111.1°であった。常法に従って分子モデルを構築、その精密化をおこない1.8Åの解像度で構造を決定した。回虫シトクロムb_5は6つのαヘリックスと5つのβ鎖からなるが、鉄を配位する6位のヒスチジン近傍に4つのアミノ酸残基の挿入がみられ、これらが2つのαヘリックスα_4とα_5の間に、もうひとつのαヘリックス(α_<4A>)を形成していること、N-末端とC-末端付近のシステインがdisulfide結合を形成すること、ヘム平面がヘム鉄を配位する2つのヒスチジンを結ぶ軸を中心に約80°回転していることなど、好気的宿主哺乳類のシトクロムb_5(膜結合領域を除いた牛肝臓シトクロムb_5)の構造と異なっていることが明らかになった。さらに、本シトクロムb_5に特異的な抗体をもちいて、回虫成虫の体壁切片の免疫組織染色をおこなったところ、本蛋白は角皮下層に分布することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)