2007 Fiscal Year Annual Research Report
回虫メトヘモグロビン還元系におけるシトクロムb5の構造特異性と生理機能解析
Project/Area Number |
18590406
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高宮 信三郎 Juntendo University, 医学部, 准教授 (90138206)
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Keywords | シトクロムb5 / メトヘモグロビン還元系 / 回虫 / C.elegans |
Research Abstract |
本年度は、1)自活性線虫C.elegansシトクロムb_5(Cyt.b_5)ホモログの検索、2)回虫Cyt.b_5前駆体蛋白をC.elegansに発現させることによるプレシークエンス(PS)の機能解析、の二課題を立案した。さらに研究の進展上、3)BiaCoreをもちいて、ヘモグロビン(Hb)とCyt.b_5との親和性解析を行った。以下に成果と到達点について述べる。1)これまでCyt.b_5はC-末端側に膜結合領域をもつ膜蛋白型と、膜結合領域を欠いた可溶性型とに大別されてきたが、PSを有する分泌型Cyt.b_5は回虫以外には他に例をみない。申請者により、本Cyt.b_5は成虫期に特異的に発現すること、PSを欠いた成熟蛋白は角皮下層と体腔液に分布し、それぞれ共存する体壁ミオグロビン(Mb)および体腔液Hbの酸化型を還元するメトミオ(ヘモ)グロビン還元系の必須成分として重要な生理機能を果たしていることが明らかになった。本年度は、本シトクロムは宿主腸腔の低酸素環境に適応する過程で特化した分子種であるという仮説を立て、これを検証する一環としてすでにゲノムプロジェクトが終了した自活性線虫C.elegansのCyt.b_5について比較解析した。Databaseから4つの分子種が得られたが、いずれもPSの付加はみられなかった。ハイドロパシー解析によりそのうちの2種は可溶性蛋白と推定され、その1種が回虫Cyt.b_5と最も高いホモロジーを示したが、両者ともESTとして検出されていない。3)回虫Cyt.b_5とヒトCyt.b_5をリガンドにしてそれぞれ体腔液Hbをeluteしたところ、前者と比較して後者のリガンドは、体腔液Hbに対して低い親和性を示した。これらの知見は上述の仮説を支持するものである。2)については、ジーンガンによるトランスフェクション効率が低いため良好な結果を得ておらず、現在条件を検討中である。
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Research Products
(3 results)