2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫の増殖を阻害するヒトモノクローナル抗体の開発
Project/Area Number |
18590407
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 Tokai University, 医学部, 准教授 (10147168)
|
Keywords | 熱帯熱マラリア / マラリア原虫 / ヒトモノクローナル抗体 |
Research Abstract |
マラリアの年間罹患者数は世界で約5億人であり、そのうち約300万人が死亡すると推定されている。本研究では、特に死亡率の高い熱帯熱マラリアの治療や予防に応用できるようなヒトモノクローナル抗体の作製をめざしており、熱帯熱マラリア原虫merozoite surface protein 1のC末端側19kDa領域(MSP-1_<19>)を抗体の標的分子とした。昨年度、抗MSP-1_<19>ヒトモノクローナル抗体Fab断片Pf25について、H鎖とL鎖のIle97をLeuに置換したクローンで、1.2倍、H鎖のTrp107をSerni置換したクローンで1.1倍に向上していた。組換え型のFab抗体は改変が容易であり、エピトープ構造の解析にも応用できると考えられた。また、MSP-1遺伝子は二型性の対立遺伝子により表現されるため、対立遺伝子内の組換えにより抗原多型性が生じる。Pf25はFCR3株と異なる対立遺伝子を有する3D7株とも反応することを、間接蛍光抗体法によって確認した。従って、エピトープは両株間で良く保存されている領域に存在し、Pf25は抗原性の異なる様々な株に反応できる可能性が高いと考えられた。さらに、Pf25によって認識されるエピトープが熱帯熱マラリアに対して免疫のあるヒトの血清でも認識されているかどうかを明らかにするため、ソロモン諸島の住民の血清を用いて競合ELISA法によって検討した。その結果、30%の血清において有意な抑制が認められた。一方、抗体遺伝子ライブラリーの作製に用いたリンパ球ドナーの血漿でも、8検体中3検体で有意な抑制が認められた。免疫血清とドナー血漿の間で平均抑制レベルに有意な差はなかった。従って、Pf25によって認識されるエピトープ以外にも防御反応に関与するエピトープが存在すると考えられた。
|
Research Products
(3 results)