2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590411
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
長田 良雄 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 講師 (80282515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 医学部, 助教 (40369054)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 免疫学 / 寄生虫 / 炎症 / 関節炎 / サイトカイン / 住血吸虫 |
Research Abstract |
[背景と目的]寄生虫感染や抗原の投与が,自己免疫疾患、アレルギーおよびその動物モデルにおいて発症を抑制することが報告されている(衛生仮説)。我々はこの分子機構を明らかにする目的で,マンソン住血吸虫の感染が実験的自己免疫性関節炎(コラーゲン関節炎,CIA)に与える影響を検討している。昨年度は感染マウスにおいて抗コラーゲン抗体価の上昇が抑えられているとともに,サイトカイン産生パターンも抗炎症側に変化していることを明らかにした。本年度はさらに,マウス足肢におけるサイトカイン発現の解析および組織学的検討を行った。 [方法]DBA/1マウスにウシII型コラーゲン(IIC)を免疫しCIAを発症させた。2週後にマンソン住血吸虫を感染させ,以後関節炎症状への影響を観察した。免疫の12週後,一部のマウスは四肢からRNAを抽出し,TaqManリアルタイムPCR法を用いて遺伝子発現を検討した。また,他の一部のマウスの足肢はH-E染色後,鏡検を実施した。 [結果]住血吸虫感染によりCIAの発症が有意に抑制された(昨年度報告済)。足肢の炎症性サイトカイン発現については,IIC免疫+非感染群では無処置群に比べIL-1β,RANKL,IL-6の発現レベルが上昇していた。これら炎症性サイトカインのいずれもが,住血吸虫感染群では発現を抑制されていた。また組織学的には,非感染マウスの関節で見られた滑膜増生、炎症細胞の浸潤、骨破壊、軟骨破壊等の所見が,感染マウスでは抑制されていた。 [考察]住血吸虫は脾細胞のサイトカイン産生パターンを「抗炎症型」に変えるのみならず,感染部位(門脈)と離れた末梢においても,強力に炎症性サイトカインの発現上昇を抑制していることが示された。また,感染によりRANKLの発現が抑制されていたことは,骨破壊の抑制をメカニズムの面から裏付けるものである。
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