2008 Fiscal Year Annual Research Report
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18590411
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
長田 良雄 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 講師 (80282515)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 免疫学 / 寄生虫 / 炎症 / 関節炎 / サイトカイン / 住血吸虫 |
Research Abstract |
[背景と目的]寄生虫感染が、自己免疫疾患・アレルギー及びその動物モデルにおいて発症を抑制することが報告されている(衛生仮説)。我々はこの分子機構を明らかにする目的で、住血吸虫感染が実験的関節炎に与える抑制効果を検討してきた。昨年度は感染マウスにおいて脾細胞のサイトカイン産生能が「抗炎症型」に変化しているとともに、実際に末梢において炎症性サイトカインの発現が抑制されていることが示された。本年度は、T細胞由来炎症性サイトカインであるIL-17の産生抑制機構について解析を行った。 [方法]まず、虫卵の状態が本現象に与える影響を調べるため、正常マウスに生きた虫卵・凍結融解虫卵・凍結融解後さらに破砕した虫卵などを腹腔内投与し、1週間後に脾細胞を採取してサイトカイン産生能を比較した。また関与する細胞を調べるため、抗CD25抗体を投与して制御性T細胞を枯渇させたり、虫卵処理したマウスから採取したマクロファージを正常マウスに養子移入したりしたのち、脾細胞のサイトカイン産生能を測定した。 [結果]凍結融解や、さらなる破砕処理によって、生きた虫卵投与によるT細胞IL-17産生抑制効果が減弱あるいは消失した。抗CD25抗体を投与したマウスにおいても、対照マウスと同様に虫卵投与によるIL-17産生能の低下が観察された。また、虫卵投与マウスから得たマクロファージを移入した正常マウスにおいては、IL-17産生能の低下が観察された。 [考察]IL-17産生抑制効果の発現には、生きた虫卵が最も有効であることが示された。また、制御性T細胞ではなくマクロファージが、本現象に関わっている細胞の一つである可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)