2007 Fiscal Year Annual Research Report
真菌感染における自然免疫の活性化とNKT細胞及びγδT細胞による制御機構
Project/Area Number |
18590413
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川上 和義 Tohoku University, 医学部, 教授 (10253973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲川 清隆 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80361145)
宮里 明子 東北大学, 病院, 助教 (50400370)
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Keywords | 真菌 / クリプトコッカス / カンジダ / ペニシリウム・マルネフェイ / 自然免疫 / NKT細胞 / DNA / TLR9 |
Research Abstract |
真菌は免疫低下宿主に合併する日和見感染真菌である。病原微生物が感染すると宿主細胞による認識から自然免疫及び獲得免疫機構の活性化へと連動し微生物の排除が行われる。通常真菌では病原性が弱いため宿主免疫機構により容易に排除されるが、免疫不全状態では感染防御能が障害されるため日和見感染症の発症へとつながる。宿主細胞による微生物の認識にはTLRsやC-type lectin-like receptors(CLRs)が中心的な役割を担うことが知られている。本研究では、エイズの日和見病原真菌であるペニシリウム・マルネフェイの樹状細胞による認識にTLR2及びCLRであるβグルカン受容体dectin-1が重要であることを明らかにした。一方、カンジダ及びクリプトコッカスの認識におけるdectin-1の役割は限定的であり、真菌種によって一様でないことも示した。さらに、カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルス、トリコスポロンといった真菌のDNAが樹状細胞を活性化してIL-12産生やCD40発現を誘導するすることが分かり、カンジダ、クリプトコッカス由来のDNAはTLR9によってエンドソーム内で認識され、MyD88を介したシグナル伝達機序によってNFkBを活性化しIL-12及びCD40の発現を誘導することが明らかとなった。実際に、一部のクリプトコッカス株では経気道感染がTLR9遺伝子欠損マウスにおいて悪化することを見出し、in vitroのみならずin vivo感染においてもこのようなメカニズムが機能している可能性が予想された。TLR9は細菌など原核生物に特徴的な非メチル化CpGモチーフを有するDNAの認識受容体であることが知られているが、共焦点レーザー顕微鏡による解析でカンジダ及びクリプトコッカスDNAがCpGオリゴ合成DNAと同様な細胞内動態を示すことが分かった。このように、宿主細胞による真菌感染の認識にはTLR9を含むTLR系が関与する機構とdectin-1といったCLR系が関与する機構が関与し、その後の自然免疫リンパ球の活性化へと連動することが明らかとなった。
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