2006 Fiscal Year Annual Research Report
O157大腸菌感染ストレス誘導レプチンによるGb3結合志賀毒素活性化機序
Project/Area Number |
18590434
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
喜多 英二 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90133199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 文子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70271202)
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Keywords | 大腸菌 / ベロ毒素 / 感染ストレス / レプチン / グレリン |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌(STEC)感染においては、腸管内からの志賀毒素の血中への移行を介してGb3発現標的細胞への到達が、HUS発症の重要な初期過程であり、この過程におけるサイトカインの役割は極めて重要と考えられる。β2ミクログロブリン欠損マウスにおいてはSTEC感染後、NK細胞の内毒素感受性亢進に基づいてIFN-γの過剰産生が生じる。次に、IFN-γ産生により活性化された単球・マクロファージからのTNF-α産生亢進により、脊髄のglia細胞でのGb3発現が増強し、志賀毒素が効率的に中枢に到達し得ることが確認された。さらに、感染後血中レプチン量の上昇と併行して腎・脳組織でのGb3発現増強が観察された。血中レプチンとTNF-α量の増加に伴い、両臓器においてNO産生細胞が増加し、志賀毒素の標的細胞への毒性発現が亢進し、特に神経細胞への毒性発現にNOの存在が不可欠であることが、培養神経細胞を用いた解析で明らかになった。培養血管内皮や神経細胞への志賀毒素の活性発現においては、毒素とTNF-αの共存が最も効果的であったが、同時にレプチンで細胞を前処理することで、毒素作用は顕著に亢進した。レプチンによる毒素活性亢進作用はNO阻害剤の添加で抑制しえたが、グレリンの添加では認められなかった。NO産生亢進と同時に神経細胞のアポトーシスが誘導されることが認められた。また脳内においては、免疫染色で志賀毒素がparaventricular areaに強染色され、近辺の細胞においてはiNOs及びnitrotyrosine陽性細胞が顕著に増加していた。以上の結果から、両因子(志賀毒素とTNF-α)存在下における標的細胞でのNO産生誘導が、本マウスにおけるSTEC感染に起因するHUS病態成立に関与しており、内毒素や志賀毒素刺激による単球・マクロファージからのレプチン産生亢進は、両因子の協調作用を促進させていると考えられた。
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