Research Abstract |
Bacillus cereus由来スフィンゴミエリナーゼ(Bc-SMase)は,溶血活性を有し,中性付近に至適pHを有する酵素(nSMase)であり,活性は,Mg2+以外にCO2+,Mn2+などの2価の金属イオンに依存している。Staphylgcoccusaureus SMase(β-ヘモリジン)やヒト,及び,ラットのnSMaseも,活性は,2価金属イオン依存性であること,アミノ酸配列の相同性の高く,これらは,nSMaseファミリーとして分類されている。従って,Bc-SMaseの二価金属イオンとの共結晶の三次元構造の決定し,金属イオンの役割と活性に重要なアミノ酸残基を明らかにすることは,病原因子としての解明と細胞内シグナル伝達機構に重要なSM代謝系の要となっているほ乳類nSMaseの機能と構造の研究に寄与すると考える。本研究において,Bc-SMaseとMg2+,CO2+,Ca2+との共結晶解析に成功し,1)Bc-SMaseは,唯一の細長いクレフトが存在し,その中央部に2個(Ca2+の場合,1個),その端に1個の金属イオンが保持されていること,2)2個金属イオンが保持されている部位が,アミノ酸置換の結果を考慮すると,活性中心であること,端に存在する金属イオンの役割はふめいであること,3)ほ乳類nSMaseには存在せず,酵素分子から突出している可動性のアームは,基質であるスフィンゴミエリンのホスフォリルコリンとの親和性が強く,基質との結合と膜への結合に重要であることが判明した。
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