2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトメタニューモウイルスの病原性とインターフェロンアンタゴニズム
Project/Area Number |
18590446
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
後藤 敏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00211920)
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Keywords | ヒトメタニューモウイルス / インターフェロン / TLR7 / 9 / IRF7 / M2-2 / pDC / ウイルス / 病原性 |
Research Abstract |
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)Jpn03-1株の遺伝子塩基配列(L(RNAポリメラーゼ)以外)を決定した。その結果、本ウイルス株は、A、B両遺伝子系統のうち、A系統に属することが明らかとなった。さらに、各ウイルス遺伝子(L以外)発現ベクターを構築し、インターフェロン(IFN)関連シグナル伝達に対する影響を調べ、各遺伝子の抗IFN能を検討した。 1)IFN誘導遺伝子の活性化経路であるJAK-STAT経路を阻害するウイルス蛋白質は見いだされなかった。 2)RIG-1やMDA5は、ウイルス感染を感知し、IFN-β産生に導く細胞質内センサー分子である。これらの分子の過剰発現によるシグナル伝達経路の活性化は、いずれのウイルス蛋白質でも阻害されなかった。 3)エンドソーム膜に結合したTLR7/9は、細胞外のウイルス核酸を感知し、IFN-aや炎症性サイトカインの産生を促す。これらの分子は、plasmacytoid dendritic cell(pDC)等に特化して発現している。そこで、TLR7/9の下流シグナル伝達分子を293T細胞に過剰発現させることにより、本シグナル伝達を再構成し、各ウイルス蛋白質の阻害効果を検討した。伝達分子MyD88、TRAF0、IRF7の同時発現によるIFN-a-4プロモータの活性化は、M2-2蛋白質により強く抑制されることが判明した。本蛋白質は、IRF7のみの過剰発現によるIFN-a-4プロモータの活性化も抑制した。しがたって、M2-2は、IRF7あるいはIRF7近傍で働く分子に作用していることが推定された。 4)TLR7/9経路の阻害活性は、パラインフルエンザ1型ウイルス(センダイウイルス)のCやV蛋白質でも見られ、パラミクソウイルスに共通した活性であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)