2007 Fiscal Year Annual Research Report
流行するフラビウイルスの急所は何か:NS4a蛋白及びゲノム3'UTRの役割
Project/Area Number |
18590455
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
竹上 勉 Kanazawa Medical University, 付置研究所, 教授 (10113490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 学 金沢医科大学, 付置研究所, 助教 (00288309)
太田 隆英 金沢医科大学, 付置研究所, 准教授 (10152141)
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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Keywords | フラビウイルス / 日本脳炎ウイルス / NS4a蛋白 / ゲノムRNA / 3'UTR / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究ではフラビウイルス感染増殖の特性に関わる非構造蛋白NS4aの機能及びゲノム末端の3'-UTRの役割に焦点を当て、ウイルス複製・病原性における特徴を明らかにしようとするものである。平成19年度においては、昨年度に続きウイルス蛋白NS4a機能解析及び3'-UTR機能についてのルシフェラーゼレポータ法による解析に加え、DNAマイクロアレイを用いた解析を行い、ウイルス複製に伴う宿主遺伝子発現の変動について実験研究を行った。 (1) ウイルス蛋白NS4aおよび3'UTR機能解近:ウイルスは日本脳炎ウイルス(JEV)の野生株(JaGAr01)及び変異株(JK-1)を用いた。複数のNS4a発現ベクター並びに人為的構築ルシフェラーゼRNA(JEV-3'UTRを含む)をヒト肝臓由来細胞株KN73及びHepG2等に遺伝子導入した。共焦点レーザー顕微鏡等を用いた解析では、NS4a蛋白は小胞体近辺に顆粒状で多く存在したが、変異NS4a蛋白の場合は小胞体から細胞質全体へ拡散するように存在していた。ゲノムRNAの3'UTRに変異ヌクレオチド配列を挿入した場合、ルシフェラーゼ活性(タンパク合成能力)に低下が見られた。以上の結果は、ウイルス複製、粒子形成にNS4aおよび3'UTRが影響を及ぼすことを示唆し、変異NS4a、変異3'UTRを含む変異ウイルスについては、その複製能力が低下していることを推察させる。 (2)JEV複製に伴う宿主遺伝子発現の変動について:ウイルス感染24時間後KN73細胞株における宿主遺伝子発現量変動では特にOASL等のIFN経路の遺伝子発現が顕著に上昇することが示された。他方、高いウイルス増殖が示される人ニューロブラストーマ細胞株IMR32ではそれが見られなかったことからフラビウィルス増殖性におけるIFN経路の役割が再確認された。また我々が確立したJEV持続感染細胞系(JK-1)においてはこうしたIFN経路遺伝子発現が親株以上に上昇していることが認められた。これらの事実は変異ウイルスの病原性との関連が推察されるので今後の研課題といえる。
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