2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経ウイルスのインターフェロン応答依存性トロピズムの解析
Project/Area Number |
18590463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小池 智 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30195630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 琢也 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (90146027)
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Keywords | ウイルス / 脳・神経 / トロビズム / インターフェロン / 血液脳関門 |
Research Abstract |
急性脳炎・脊髄炎を引き起こすウイルスの組織特異性の決定にInterferon (IFN)は大きな影響を与えているという仮説をもち、それを証明するために以下の実験を行った 1.Theiler's murine encephalomyelitis virus (TMEV)の組織特異性に対するIFNの影響:TMEV GDVII株を野生型C57BL/6マウスとI型IFNレセプターを欠損したIfnar KOマウスに静脈内接種し、経時的にウイルスの増殖、病理学的変化を調べた。WTマウスではTMEVは脳、脊髄で最もよく、ついで骨格筋、心臓の順で増殖し、肝臓、脾臓、腎臓などはほとんどウイルスの増殖や病変は見られなかった。しかし、KOマウスではどの組織でもウイルスはよく増殖し、病変も見られた。WTマウスのウイルス感染時のIFN応答は脳、神経、骨格筋で応答が弱く、他の組織では活発であった。したがってTMEVにおいてもウイルスの増殖する組織はIFN応答の弱い組織に限局されており、非神経系ではウイルスは本来増殖可能であるがIFN応答により増殖を抑制されているという我々の作業仮説が成立していた。 2.IFN応答の組織、細胞による違いをもたらす原因の解明:神経系でIFN応答が低い理由はウイルス感染などがなくても常時自発的に発現しているspontaneous IFNが末梢組織でより多いからではないかと考え、これをRT-PCRにより測定したが特に神経系と非神経系にその差はみられなかった。さらにIFN応答が遮断されているIfnar KOマウスでIFN-stimulated gene (ISG)の発現を調べたが、消化管ではこの条件でもISGの発現は見られた。すなわちspontaneous IFNが発現するか否かに関わらず、神経系よりも消化管などではIFN応答が起こりやすい状況になっていることが判明した。
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Research Products
(3 results)