2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規IgM受容体を介した自己抗体産生抑制機構の解明
Project/Area Number |
18590465
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本多 伸一郎 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (60360640)
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Keywords | Fc受容体 / IgM / 抗原複合体 / B細胞 / 自己抗体 |
Research Abstract |
目的 Fcα/μRがT細胞非依存性抗原に対する抗体産生応答の主役であるMZB細胞に強く発現していること、Fcα/μR欠損マウスにおいてT細胞非依存性抗原に対する液性免疫応答が亢進しているという知見から、Fcα/μRはT細胞非依存性抗原とIgM抗体の複合体との会合によってMZB細胞の活性化を抑制するという仮説を提唱した。本研究ではこの仮説を検証し、Fcα/μRを介した新しい免疫応答制御機構を明らかにすることを目的とする。 結果 NP-KLHと抗KLH-マウスIgM抗体のインキュベーションにより抗原-IgM複合体を形成させた。NP抗原特異的BCRノックインマウス、QMマウス由来脾臓細胞より磁気細胞分離法を用いてB細胞を精製し、抗原-IgM複合体と共に一晩培養を行った。FACS解析によるB細胞上のCD86分子の発現上昇を指標にB細胞の活性化について検討した。NP-KLH用量依存性にQMB細胞上のCD86発現上昇が認められたが、この発現上昇は抗原-IgM複合体形成によって抑制された。また、IgMのFcα/μレセプター(Fcα/μR)への結合を完全に阻害する抗体であるTX57のF(ab')2抗体を用いてB細胞を前処理した場合、上記のIgM複合体形成によるCD86発現上昇抑制効果は消失した。 さらに、QMB細胞を磁気細胞分離法にてMarginal zone B cell(MZB)とFollicular B cell(FOB)とに分離して同様の検討を行ったところ、IgM複合体形成によるCD86発現上昇抑制効果はFcα/μRを高発現するMZBにおいて顕著だった。 考察 抗原-IgM複合体はBCRとFcα/μRの共架橋を介してB細胞の活性化を抑制することが示された。免疫応答早期において、抗原は自然抗体として存在するIgM、もしくは抗原感作に伴って最初に産生されるIgMと複合体を形成すると考えられるが、IgM-抗原複合体は特にMZB上でFcα/μRを介してB細胞の活性化を抑制していることが示された。
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Research Products
(5 results)