2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規IgM受容体を介した自己抗体産生抑制機構の解明
Project/Area Number |
18590465
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本多 伸一郎 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60360640)
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Keywords | Fc受容体 / IgM / 抗原複合体 / B細胞 |
Research Abstract |
目的Fcα/μRがT細胞非依存性抗原に対する抗体産生応答の主役であるMZB細胞に強く発現していること、Fcα/μR欠損マウスにおいてT細胞非依存性抗原に対する液性免疫応答が亢進しているという知見から、Fcα/μRはT細胞非依存性抗原とIgM抗体の複合体との会合によってMZB細胞の活性化を抑制するという仮説を提唱した。本研究ではこの仮説を検証し、Fcα/μRを介した新しい免疫応答制御機構を明らかにすることを目的とする。 結果H18年度の研究において抗原-IgM複合体はBCRとFcα/μRの共架橋を介してB細胞の活性化を抑制することが示唆された。そこでB細胞株であるA20.2J細胞にFcα/μR遺伝子を導入し、BCRを介したカルシウム細胞内流入におけるFcα/μRの作用を検討した。遺伝子導入細胞にビオチン化抗BCR抗体を結合させ、ストレプトアビジンを添加したところ、BCRを介した細胞内カルシウム流入が認められたが、さらにビオチン化抗Fcα/μR抗体を添加した場合、細胞内カルシウム流入は抑制された。一方、細胞内領域を欠失させたFcα/μR遺伝子を導入したA20.2J細胞で同様の実験を行ったところ、ビオチン化抗Fcα/μR抗体添加による細胞内カルシウム流入の抑制は認められなかった。さらに、遺伝子導入細胞を刺激後、Fcα/μRを免疫沈降してウエスタンブロッティングを行ったところ、共架橋に伴ってFcα/μRのスレオニン残基がリン酸化される事を示唆するデータが得られた。 考察Fcα/μRは共架橋によってBCRを介した細胞内カルシウム流入を始めとするB細胞活性化を抑制することが示された。この抑制にはFcα/μRの細胞内領域が必須であり、細胞内スレオニン残基のリン酸化が抑制性のシグナルに関与している可能性が示唆された。
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