2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトγδ型T細胞受容体テトラマーによる腫瘍細胞抗原の同定
Project/Area Number |
18590470
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 義正 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90280700)
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Keywords | γδ型T細胞 / 微生物 / 非ペプチド性抗原 / 認識機構 / 構造生物学 |
Research Abstract |
本年度はγδ型T細胞由来のVγ2Vδ2型T細胞受容体のテトラマーPEコンジュゲートを作製した。具体的には、まずVγ2Jγ1.2Vδ2型TCRを作製するために、Vγ2Jγ1.2フラグメントを有するγ鎖、および、Vδ2フラグメントを有するδ鎖をクローニングし、大腸菌発現用ベクターに挿入した。サイレント変異導入後、δ鎖にビオチン化部位を導入し、大腸菌で封入体として発現させた。アルギニンベースの緩衝液中でリフォールド後、陽イオン交換カラムクロマトグラフィーで精製し、酵素処理でビオチン化後、ストレプトアビジンPEで標識を行った。これをゲル濾過にかけ、最終標品とした。この標識化TCRを用いて各種細胞株を検討した結果、RPMI8226に染色性が確認された。以上の結果より、γδ型TCRが何らかの細胞表面抗原を認識することが明らかになった。さらに、γδ型TCRの構造を高解像度で得るため、ビオチン化タグのないγδ型TCRを調製し、結晶化を行った。PEG4000をベースとする緩衝液を用いた結果、単結晶が再現よく得られ、放射光解析に適した空間群を有していることが明らかになった。SPring8における解析の結果、1.9オングストロームまでの回折点を得ることができ、高解像度のデータが得られた。モデリングと精密化を行った結果、2.1オングストロームまでのデータで矛盾無い構造を得ることができた。また、γδ型T細胞の認識に拘わる分子として、IRp60が同定されたが、このテトラマーを作製し、リガンド検索を行った結果、U937細胞株に発現が認められた。以上の結果から、γδ型T細胞の非ペプチド性抗原認識機構が分子レベルで解明する基盤が形成された。
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Research Products
(4 results)