2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590472
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
鈴木 春巳 国立国際医療センター(研究所), 臨床病理研究部, 部長 (70235985)
|
Keywords | T細胞 / Th-POK / 分化 / シグナル伝達 / 転写因子 |
Research Abstract |
Th-POKは胸腺内で強制発現させるとCD8-SPへ分化するはずの細胞をCD4系列へと分化転換させることが出来、またこの分子を機能的に不全にすると、逆にCD4-SPに分化するはずの細胞をCD8-SPへと分化させることが出来る転写因子である。我々はTh-POK遺伝子をクローニングし、Pax5欠損プロB細胞株を用いた独自の胸腺細胞再構築実験系を用いてTh-POK分子を胸腺内で強制発現させたところ、予想通りTh-POK発現細胞はCD8-SPに分化しなかった。また、Znフィンガードメイン、BTBドメインを欠失させた変異遺伝子を発現させても分化転換は起こらず、分化転換にはZnフィンガーおよびBTBドメインのどちらもが必須であることがわかった。クロマチン免疫沈降実験の結果、Th-POKがRux3およびCD8遺伝子の転写制御領域に結合していることが明らかになり、Th-POKがRunx3およびCD8遺伝子の発現を直接抑制している可能性が示された。さらにTh-POK遺伝子の発現がカルシウムイオノフォアによって誘導されること、アポトーシスを引き起こす様々な刺激によっても誘導できることを見出した。正の選択の中でも比較的強いアフィニティー刺激を受けた場合にCD4-SPへの分化が起こることがこれまでに示されており、強いアフィニティー刺激を受けた場合にアポトーシスが起こる(負の選択)ことを考えると、CD4-SPへの分化のマスター因子であるTh-POKの発現とアポトーシスの誘導がそのシグナル伝達経路を一部共有しているという可能性は非常に興味深い。以上の結果から、未熟胸腺細胞のがCD4-SPへと分化する際にはTh-POKが必須であり、CD8-SPへの分化に必須のRunx3遺伝子の発現およびCD8遺伝子そのものの転写を直接抑制していることが示された。
|