2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590472
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
鈴木 春巳 Research Institute, International Medical Center of Japan, 臨床病理研究部, 部長 (70235985)
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Keywords | T細胞 / Th-POK / 転写因子 / シグナル伝達 / CD4 |
Research Abstract |
近年のTh-POKの同定とその機能解析は、ヘルパー細胞(CD4シングルポジティブ(SP))およびキラー細胞(CD8-SP)への系列運命を決定する分子メカニズムの解明を大きく前進させた。我々は独自にTh-POK遺伝子をクローニングし、Pax5欠損プロB細胞株を用いた独自の胸腺細胞再構築実験系を用いてTh-POK分子を胸腺内で強制発現させた。その結果、予想通りCD4-SPへの分化が阻害され、CD8-SPへの分化が増大した。Th-POK分子内のドメイン構造の機能を解析する目的で、ZnフィンガードメインおよびBTBドメインを欠失させた変異遺伝子を発現させたところ、分化の転i換は起こらなかった。従って、ThPOKの系列運命決定には両方のFメインが必要であることがわかった。次に、Th-POK遺伝子の発現を誘導するような条件を探索したところ、カルシウムイオノフォアの単独刺激で発現誘導されることがわかった。細胞死を誘導する刺激によってもTh-POKの発現は誘導されることがわかり、CD4-SPへの分化のマスター因子であるTh-POKの発現と細胞死の誘導シグナルがその伝達経路を一部共有しているという可能性は非常に興味深い。さらに、Th-POKが直接制御している遺伝子座としてCD8とRunx3を想定し、抗Th-POK抗体を用いたクロマチン免疫沈降実験を行った。その結果、Th-POKがRux3およびCD8遺伝子の転写制御領域に結合していることが示され、Th-POKがRunx3およびCD8遺伝子発現を直接抑制していることが示唆された。以上の結果より、Th-POKがRunx3およびCD8遺伝子の発現を直接制御することにより、系列運命が決定されることが示唆された。
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