2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20117427)
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Keywords | フィコリン(Ficolin) / 生体防御 / レクチン / 補体 / 自然免疫 |
Research Abstract |
自然免疫における自己と非自己の識別は、細菌やウィルスの表面の特異的な分子パターンを認識することによる。フィコリン(Ficolin)は、マンノース結合レクチン(MBL)と同様に、微生物表面の分子パターンを認識し、補体レクチン経路を活性化して、生体防御に働くと考えられている。本研究は、フィコリン欠損マウスを作成し、その表現型解析と再構成実験から、生体内におけるフィコリンの真の標的とその作用機序を明らかにすることを目的としている。 本年度は、以下の点を明らかにした。 (1)血清型フィコリン(フィコリンA)欠損マウスは、フィコリンA/MASP/sMAP複合体の不形成のために、フィコリンAを介するレクチン経路の活性が低下していた。その血清に組換えフィコリンAを添加することにより、フィコリンA/MASP/sMAP複合体が再構築され活性が回復しとことより、フィコリンAは補体レクチン経路を介して働くことが示された。 (2)フィコリンA欠損マウスの生体防御能力を調べるために、マウス全血に細菌(Staphylococcus aureus)を加え、細菌の増殖速度を測定した。その結果、フィコリン欠損マウスは、有意にその抑制活性が低下しており、組換えフィコリンAの添加により、抑制活性は回復することがわかった。フィコリンAの細菌に対する防御作用が明らかになった。 (3)一方、フィコリンBはレクチン経路を介さず、強い細菌凝集作用によってマクロファージによる食食を増強することが明らかになった。以上から、フィコリンAはレクチン経路を介して作用し、フィコリンBは原始的な凝集によって作用することが判明し、フィコリンは二つの異なるルートで細菌感染防御に働くことが明らかになった。 一方で、生体防御の1つである血液凝固にもフィコリンが関連することを示唆するデータが得られており、解析を進めている。また、フィコリンが胚発生の初期から産生されているデータを以前に得ており、これに関連して、フィコリンA欠損マウスおよびフィコリンB欠損マウスの組織の解析を進めている。
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Research Products
(9 results)