2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590476
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 雄一 Fukushima Medical University, 医学部, 准教授 (20117427)
|
Keywords | フィコリン(Ficolin) / 生体防御 / レクチン / 補体 / 自然免疫 |
Research Abstract |
フィコリン(Ficolin)は動物レクチンであり、異物表面の糖鎖のパターンを認識することによって生体防御に働くと考えられている。本研究は、フィコリン欠損マウスを作成し、その表現型解析と再構成実験から、生体内におけるフィコリンの真の標的とその作用機序を明らかにすることを目的としている。本年度は、以下の点を明らかにした。 (1)フィコリンは、セリンプロテアーゼMASPと複合体を形成し補体レクチン経路を介して補体系を活性化するが、この作用はフィブリノーゲンあるいはフィブリンの共存によって亢進することが判明した。また、細菌表面へのC3b沈着も亢進し、補体レクチン経路を介するフィコリンの作用が、凝固系と深く関連していることを明らかになった。 (2)昨年度、フィコリンA欠損マウスの表現について補体レクチン経路の低下や細菌に対する増殖抑制能の低下などを明らかにした。本年度は、フィコリンB欠損マウスの表現型解析を進めてきたが、骨髄を含む各種組織、末梢血の血球数および血液像に明らかな異常は見いだされなかった。一方、骨髄から得られる微量のフィコリンBが解析できるようになり、その構造を明らかにした。これまで、フィコリンBのリコンビナントは昆虫細胞で作成したものを用いてきたが、天然のフィコリンBの性質と異なることが判明した。CHO細胞で作成したリコンビナントを解析した結果、他のフィコリン同様、フィコリンBの作用も補体レクチン経路を介する可能性が示された。 (3)フィコリンAとフィコリンBの遺伝子はごく近い位置に存在し、2つの遺伝子間での組換えは極めてまれであるが、ヘテロマウス同士の繰り返しの交配によりダブルヘテロマウスが得られ、フィコリンA/Bダブル欠損マウスの作成に成功した。次年度は、その表現を解析する。
|
Research Products
(4 results)