2006 Fiscal Year Annual Research Report
LIM蛋白ファミリーによる自然免疫反応調節機構の解明
Project/Area Number |
18590480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 貴志 独立行政法人理化学研究所, 生体防御研究チーム, 研究員 (00415225)
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Keywords | NF-κB / 自然免疫 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
蛋白ユビキチン化は、細胞内シグナル伝達系を制御する新たな蛋白質翻訳後修飾として最近注目されている。自然免疫を担う樹状細胞は、病原微生物の侵入に対し、Toll様受容体を介して核内転写調節因子NF-κBを活性化し、炎症反応を惹起して病原菌の排除にあたるが、最近、このNF-κBの活性を負に制御する機構として、NF-κB自身のユビキチン化・分解が重要であることが明らかになってきた。しかしながら、NF-κBに結合してこれをユビキチン化するユビキチンリガーゼは不明であった。 SLIMは申請者らによって単離されたLIM蛋白ファミリーに属する核内蛋白で、LIMおよびPDZの両ドメインを有する。申請者は、これまでの研究において、LIMドメインがユビキチンリガーゼ活性を有する新たなモチーフであることを報告したが、本申請研究においては、申請者は、SLIMがNF-κBのp65サブユニットに対してユビキチンリガーゼとして作用することを明らかにした。すなわち、SLIMは活性化に伴って核内に移行してきたp65と結合しLIMドメイン依存性にこれをユビキチン化する。さらに、SLIMが、PDZドメインを介してp65をPML nuclear bodyという核内の隔離された分画に輸送し、この分画においてユビキチン化されたp65がプロテアソーム依存性に分解されることも明らかになった。また、SLIM欠損マウス由来樹状細胞においては、p65のユビキチン化の傷害および核内のp65の蛋白量の増加が認められ、これにともなって、炎症性サイトカインの産生が正常マウス由来樹状細胞に比べて著明に亢進していた。以上より、SLIMは、基質蛋白の^Lユビキチン化と核内でのプロテアソームへの輸送という2つの機能を併せ持つユニークなユビキチンリガーゼであり、この活性により、NF-κBの活性化および炎症反応を負に調節していることが明らかになった。
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